みさとの出会い
鷹鬼に誘われダーツと出会い
そしてもう1つの出会いがあった。
「あぁ疲れた!ちょっと休憩しようぜ鷹鬼!」
「…あぁそうするか」
そう言い2人でカウンターへと腰をおろす。
「何になさいます?」
メニューを差し出しながら先程の女性店員が声をかけてくる。
「すんませんありがとうございます」
メニューを受け取りながら女性店員を見る。
その瞬間俺の体に衝撃が走る。全身の血が逆流したかとも思えた。か…可愛いのだ。とてつもなく。
やべぇ目を離せない。いや注文しなきゃ。
「え、あ、あぁ……び、ビール……じゃなくてコーラ!」
「おい」鷹鬼が冷ややかに突っ込む。
「未成年でビール注文すんな。お前バカか」
「ち、違ぇ! コーラって言ったんだよ!」
「いや、明らかに“ビ”って言ってただろ」
一気にコーラを飲み干すと俺は言った。
「はい!休憩終わり!ダーツしよ!」
そうして鷹鬼とまた奥へと行く。
ダメだ。緊張して汗ばんでダーツがすっぽ抜ける。
さっきの休憩が休憩になってない。
「おい、さっきから全然的に当たってねぇぞ」鷹鬼が呆れる。
「う、うるせぇ! 今日は……調子が悪いんだ!」
「……調子が悪いんじゃなくて、視線がカウンターに釘付けなんだよ」
図星を突かれた俺はさらに矢を外した。
集中集中。ダーツに集中。落ち着け。
すると休憩になったのか女性店員が近づいてくる。
「お二人とも、すごく楽しそうですね」
鷹鬼が何か言っている。女性店員を交え会話をする。
すまない鷹鬼。この子以外の言葉が入ってこない。
「でも、一生懸命なのって素敵だと思います」
柔らかな笑顔。たまらない。
カウンターの方からマスターの声がする。
「みさー休憩終わったかー?」
「今戻ります」
みさって名前か。素敵な響きだ。
ペコっと頭を下げカウンターに向かうみさを思わず呼び止めた。
「あ…あのみささんって言うんですか。じ…自分は久里鬼です久里鬼ヨシトと言います!このお店素敵です!楽しいです!また絶対来ます!」
あー何言ってんだ俺。緊張しすぎてテンションがおかしな事になっている。
「ふふっまたお待ちしてますね」
再度頭を下げるとみさはバイトへと戻っていった。
ふと我に返って隣をみたら呆れた様子で鷹鬼が腕を組んで立っていた。
一目惚れってマジであるんだな。
あーアンジュに行きたい。
毎日でも通いたい。