王の旅立ち
春。
出会いと別れの時期。
「卒業生!退場!」
体育館から卒業生達がぞろぞろと出ていく。
菅野さんも胸を張り歩いて出ていく。
俺らが嵐ヶ丘へ来てもう1年経ったのか。
最初は敵対していたが今は先輩とし尊敬する菅野さんが卒業ってのはちょっと寂しい。
卒業生が出ていき場が静まると鷹鬼が言った。
「…行くか。」
俺らは校舎裏へ向かう。先に来ていた静かに菅野さんが佇んでいた。
「菅野さん。卒業おめでとうございます。」
「…先輩。卒業おめでとう。」
「おう。来てくれたか。ありがとう。」
菅野さんは少し照れているようだ。
「今日で俺も卒業だ。今後色々大変な事もあろうが嵐ヶ丘の顔として頑張れよ!」
「任しといてください。」
「…所で先輩は卒業したら何を?」
「あー卒業後ね。俺さ警察になろうかと思ってる。」
「マジっすか。警察とはこりゃまた意外。」
「…本当に意外だな。何故また警察に?」
「俺は嵐ヶ丘の王と呼ばれこの街を見てきた。この街は勢力争いが絶えず起こりお世辞にも平和とは言えねえ。だから少しでも可愛い後輩達が笑って過ごせるようにしてやりたくてな。」
菅野さんの目は真剣だ。
「それによ双天鬼を逮捕した優秀な警察官って呼ばれるのも悪くねえだろうからな。」
「ひでえ!逮捕前提とかなんすか!」
「…流石に先輩冗談きついって。」
3人で笑い合う。和やかなムードが場を包む。
「それじゃあそろそろ行くわ。」
「お疲れ様でした。菅野さん。」
「…時々顔見せに来いよ先輩。」
このまま和やかな雰囲気での別れと思ったが菅野さんが素早く俺に耳打ちをする。
「今日の17時。黒天会とやり合った旧運動公園で待つ。1人で来い。」
ーーーーえっ?
菅野さんは片手を上げ去っていく。
時は過ぎ17時。旧運動公園。
「なんすか菅野さんこんなとこに呼び出して。愛の告白って訳でもなさそうだし。」
「昼間話したろ?俺は警官を目指すつもりだ。そうなったらおちおち喧嘩もできねえ。だから最後によ入学早々に俺をぶっ飛ばしやがったクソガキにお礼参りしようと思ってな。」ニカっと笑う菅野さん。
俺はタバコに火をつけ答える。
「仕方ねぇな。それじゃあ今日は俺に喧嘩売ってきた王者菅野として相手してやんよ。」
「ばーか。警察の前で堂々とタバコ吸うなクソガキ。」
「うるせえよ。まだ警察じゃねえだろ。王を2度も倒したら俺伝説になっちまうな。かかってこいや!菅野!」
菅野さんはフッと笑う。
「調子乗ってんじゃねえぞ!クソガキが!」
両者の拳が今交わるーー
嵐ヶ丘の王菅野さん。
最後の喧嘩が今始まる。




