違和感の正体
もっと早くに気づいてやるべきだった。
手負いの副将の意地の戦い。
とうとう始まった鷹鬼とポッター。
仕掛けたのはポッターからだった。
素早い動きで鷹鬼との間合いを詰め猛攻を仕掛ける。
対する鷹鬼は防御に徹している。
何故だ?普段なら速さを活かした鷹鬼が相手を翻弄して気づけば相手が倒れている。
確かにポッターも速い。だがしかし鷹鬼ならあの速さでもなんなく避けなんならもう勝負はついてるはず。
どうしたーーー。
「鷹鬼どうしたんだ?」
「一方的にあいつの防戦じゃないか。」
辻と松浦は不安を口にする。
「まぁ見てろって。鷹鬼なりに戦い方考えてんだよ。」
そう言いながらも正直俺も不安を拭いきれなかった。
ポッターの拳が鷹鬼の頬をカスめ血が滴る。
ギリギリで避けてはいるが徐々にダメージが入り時折ふらついている。
それでもアイツは正面からの打ち合いをやめない。
何故だ…?もしかして足封じられてんのか…?
そう考えると色々と辻褄も合う。
俺はタバコを胸いっぱいに吸うと煙を吐き出しながら叫んだ。
「鷹鬼ぃ!無理すんな!勝ち負けに拘るな!気にする事はねぇぞ!」
「…まだ終わっちゃいねえよ。」鷹鬼の目は死んでいない。むしろ鋭さが増している。
殴られ蹴られ血が滴ろうが顔が腫れようがポッターをしっかり見据えている。
「なんで倒れねえんだよ!」ラッシュを続けてるポッターにも焦りが見える。
「…倒れられねえんだ。ここで負ける訳にはいかねえ。」鷹鬼は傷を負いながらもポッターの猛攻に一定のリズムがある事に気づく。このタイミングだ。
鷹鬼は拳を強く握り次のタイミングを静かに待つ。
ーーーきた。
ポッターの拳に合わせ鷹鬼も拳を出す。
ガゴォッ!凄まじい音と共に2人のパンチが互いに刺さる。時が止まる。
そしてゆっくりと崩れたのはポッターだった。
「なん…でだよ。お前は…速さの鬼じゃ…。」
崩れ落ち倒れたポッターは起き上がれない。
「よっしゃー!鷹鬼が勝った!」
辻と松浦が同時に歓声を上げる。
一方その頃黒天会側でショルダーが震える声を出す。
「……なんでだよ…足…刺してんのに…なんで…」
「ショルダー。どういう事だ。」
「た…鷹鬼の足さえ潰してしまえば…力の均衡はこちらに傾く…だから俺は…」
グシャっ。言いきる前にリックの拳がショルダーの顔にめり込む。
「お前は黒天会の名に泥を塗った。二度と黒天会の名を口にするな。もし黒天会の名を語った時には…お前を殺す。」
勝者の鷹鬼は初めてに近いくらいのボロボロの格好で足を引きずりながらこちらへ戻ってくる。
「…きっちり勝負つけてきたぜ。後はよろしくな。相棒。」
「おう。ひやひやしたけど信じてたぜ。でも足の事何故言わなかった?」キレ気味に問う。
「…言ったらお前の事だ。冷静でいれなくなるだろ?冷静でいられなくなったお前は見境がない。それに…何も気にせずリックとぶつかって欲しかったんだ。」
「色々と俺の事お見通しかよ。彼女みてーなやつ。リック叩きのめしてくるからゆっくり休んでろ。」
俺は中央へと向かう。
リックもこちらへ来る。
決着の時が今始まる。
相棒をあんなボロボロにしやがって。
きっちり落とし前はつけてもらう。




