旧運動公園にて
上だの下だのどうでもいい。
楽しい喧嘩の始まりだ。
時刻は20時少し前。
嵐ヶ丘のら5人は運動公園前に集まっていた。
皆今日はそれぞれに覚悟を決め目の奥に闘志を燃やしていた。特に鷹鬼はいつもより険しい顔をしている。
タバコに火をつけ一口吸うと俺は言った。
「さぁ行くか。」
皆無言で運動公園へと入っていく。
中に入ると黒天会のメンバー達は既に待ち構えていた。
「よう。リック…そして黒天会達。お待たせしました。」
「定刻通りだな。よし早速だがルールの確認だ。
1つ。武器その他凶器類の使用禁止。ステゴロだ。
2つ。戦闘不能もしくは降参した方の負け。
3つ。先に3勝したほうの勝ちだ。
最後に…負けた方が今後勝った方に従う。
シンプルで分かりやすいだろう?」
「どっちが上とか下とか興味ねえけど売られた喧嘩は買う主義でな。とりあえず今日は喧嘩売ってきた黒天会を叩き潰すまでだ。」
「そうだ。それでいい。久しぶりに楽しい喧嘩が出来そうだ。」
リックは満面の笑みだ。
ふいに隣に立っていた鷹鬼がよろめく。
「おっと。」俺は鷹鬼を支える。
「柄にもなく緊張してんのか?」冗談混じりに言う。
「…気にするな。なんでもない。」
「さぁ!始めようか!黒天会の先鋒はベースボールだ!」リックが開始を告げた。
「よ…よしやってやる。」
辻が前へ出る。
「黒天会の戦いの幕開けは俺がいつもやる。さぁ始めようか。」
坊主頭のベースボールが出てくる。
両者が中央に寄り睨み合う。
「派手に打ち砕いてやるよ。」
ニヤッと笑うベースボール。
「俺だって倒すつもりできてんだ。簡単には砕けねえぞ。」
気迫の面では辻だって負けてない。
先に動いたのはベースボール。右ストレートを放つ。紙一重で避ける辻。
両者とも退かず一進一退の攻防だ。
「おぉ。辻やるじゃん。あいつあんなに動けたんだ。すげえな。」驚き思わず声が出る。
「…アイツもアイツなりに色々頑張ってたみたいだからな。」
ゴッ。辻の顎にベースボールのアッパーが入り背中から倒れる。だがそれでも辻は立ち上がる。
果敢に立ち向かい殴り合う。
辻の右ストレートがベースボールに当たり体が揺れる。決着かと思われたがカウンター気味に放たれた左フックが辻の顔にヒットした。
「……………ぐっ…ぐふっ…」
そこで膝をついた辻は立ち上がる事ができなかった。
リックが片手を上げる。
「勝者!ベースボール!」
辻は倒れたまま悔しそうに呟いた。
「み…みんな…ごめん…」
先鋒戦。敗退。
辻。お前は頑張った。
後は残りのメンバーに任せろ。




