鷹鬼と俺
柄にもなく語り合う俺と鷹鬼。
なんだか青春。
時計に目をやる。針が22時を指している。
みさもチラチラ時間を気にしているようだ。
「もうこんな時間か…。あーめっちゃ喋った!今日はそろそろ寝ようぜ。」
「えーまだいいじゃん!もう少しだけ。ね?」
俺の腕にしがみつき見上げる。あー卑怯。それは卑怯。可愛い×可愛い=みさ。この世に舞い降りた天使。
「んーならもう少しだけ。なんか喧嘩の話ばっかだったから鷹鬼との友情ストーリーでも教えちゃおっかな」
ーー夕暮れの河川敷。
鷹鬼と俺は腰を降ろし並んで座っていた。
柄にもなくお互いの過去の話をしていた。
お互い形は違えど裏切られ利用され他の人間を信じる事が出来なくなっていた。
「お互い…似たような過去背負ってんのな。」
「…あぁ。でもなお前と知り合ってからまた人を信じてみよう。そんな気持ちになってるんだ。」
「それは俺もだぜ鷹鬼。」
「…お前になら安心して背中を任せられる。」
2人は顔を見合わせニカッと笑う。
「また喧嘩になるのか。めんどくせえな。」
「…だろうな。どことの喧嘩になるが分からんが。」
「あーあ。ただ俺は自由に学生したいだけなんだけどなぁ。」
「…今まで数々の本を読んできた。その中いつも人々は戦いの果てに自由を手にしてきた。だから俺達も自由を手にするまで戦うしかねえだろ。もちろん自由だけじゃない。守りたいもの大切なものの為にも人は戦う。」
えっ何そのセリフ。使いたい。鷹鬼はいつもセリフまでカッコよくてずるい。
そして鷹鬼は笑いながら付け加える。
「…まぁ俺達の戦いなんざ先人の人々に比べたらちっぽけなもんだけどな」
うるせえよ。俺もカッコいい感じになりたい。ちくしょう。絶交だ。絶交。
「…さてそろそろアンジュに向かうか。次の事も話し合いしなきゃな。辻と松浦も向かってる頃だ。」
えっ?そうなの?話し合い大事。ありがとう鷹鬼。
相棒。ズッ友。親友。いや神友よ。
「いらっしゃいませ!あっヨッシーと鷹鬼くん!」
うふふ。好きぴのみさ。略してみさぴ。今日も輝いてるよ。
「辻くんと松浦くん…奥の席にいるよ。」
「…先に着いてたかあの2人。ありがとうみさちゃん」
「ねぇヨッシー?また…喧嘩になっちゃうの…?」
「あぁ…あの日義兄さんも言ってたけど残念ながら避けられないみたい…」
俺はピンときた。今このタイミングで言うべきだ。
「人ってのはさ。自由の為に戦うものなんだ。もちろん守りたいもの。大切なものの為にも。」
言ったった。かっこいい。今日の俺100点満点。
「…2人が待ってる。行くぞ。」
えぇ…いたの鷹鬼。さっき奥の席に向かったっぽい雰囲気だったじゃん。だから言ったのに丸パクリしたセリフ。もしかして全部聞いてたの?
恐る恐る鷹鬼を見ると何とも言えない表情で俺を見ていた。こんな顔しても俺と一緒にいてくれる鷹鬼は間違いなく親友だと思った。
うんまぁ恥ずかしいけど
セリフパクった事は皆に内緒だぜ!相棒!




