最強の拳と王者の風格
文化祭の日俺の知らないとこで
もう1つの戦いがあっていた。
文化祭が終わり次の登校日。
俺も鷹鬼も松浦も傷は残るがみんな元気だ。
教室に入ると辻が話かけてくる。
「みんな。大変だったね。」
「…辻。お前も怪我してるじゃないか。」
「あぁこれね。校内にも何人か朱雀会が入ってきてて…。喧嘩なんかした事なかったけど無我夢中で何とか1人は倒せたけどさ。」
「おぉ。人生初の喧嘩勝利で収めたか!すげぇな辻」
笑いながら辻の肩を叩く。
「…その後の残りの奴らはどうしたんだ?」
「いやさ…1人倒した後他の奴らにやられそうになってたんだ。そしたら菅野先輩がきて助けてくれた。4~5人いたんだけど一瞬だったよ。俺なんか1人倒すのがやっとで…なんかかっこ悪いな」
「…それは違うぞ辻。喧嘩をした事ないお前が放った勇気のこもった拳。それが俺や久里鬼そして松浦よりも最強の一撃だ。」
「おう。そうだな!最高にかっこいいぞお前!」
辻は照れたように頭をかく。
「ちょっくら3年の校舎行ってくる」
「やめとけって久里鬼!今は目立った事されてないけど行ったら何されるか!」
「うるせえよ筋肉の化身。喧嘩しに行くわけじゃないし大丈夫だろ。」
ーー3年校舎。
「いきなりすみません。菅野先輩に会わせてください。」俺は頭を下げる。
「あぁ?菅野さんになんの用だてめぇ。」
やっぱりあの一件があり歓迎はされない。
「文化祭の日に仲間を助けてもらいました。会って直接礼を言いたいです。会わせてください。」
再度頭を下げる。
「おい…通してやれ。」低い声が聞こえる。
そこに菅野が立っていた。一度俺に負けたとはいえ王者の風格をまといそして仲間達は菅野を慕っていた。
「あっ菅野先輩。文化祭の日に辻を助けてもらったとお聞きして。本当にありがとうございました。」
俺は深々と頭を下げる。
「別に助けた訳じゃねえよ。学校で好き勝手暴れられるのが気に食わなかっただけだ。そこに偶然辻がいただけだ。」菅野が笑いながら言う。
なるほど。なんとなくだがこの人菅野が王と呼ばれている訳が分かった気がする。
「それじゃ失礼します。歓迎されてなさそうだし自分戻ります。ありがとうございました。」
再度深々と頭を下げる。
「おい待て。お前ら双天鬼はいつでも歓迎だ。いつでも遊びにこい!」
「分かりました。また近いうち遊びにきます。」
俺は笑顔でそう言うと踵を返した。
秋晴れの元1つのわだかまりが解け清々しい気分だ。
辻の勇気。菅野の風格。
なんだかいつもよりタバコが美味く感じた。
改めて菅野を尊敬し菅野に認められた。
そして辻の勇気。
仲間が増えた気分で凄く嬉しい。




