第四夜
こんな夢を見た。
私はランタンが照らされている小部屋の中にいた。周囲の物が大きい。
私は小人になっていた。フローラの良い香りが満ちている。テーブルの下から匂っている。
フローラの香りを楽しんでいると、巨人がやって来た。小部屋いっぱいにスペースをとっている。
巨人はどうやら私に気づいていないようだ。手にした用紙に何やら書き込んでいる。
巨人が用紙に書き込む音が響いている。それが心地良い音を奏でている。
時折、唸ったりしているが何を書いているのだろうか。それが気になってきている。
しかし、私にはよじ登る力など無いに等しい。また、巨人に気づかれれば、どうなるか分からないのが恐ろしい。
巨大な手で振り払われてしまえば、どこに飛ばされてしまうのか分からないからだ。
あるいは、巨大な手で叩きつけられるかもしれない。巨人にとってはハエ叩きのようでも、小人の私にとっては、恐ろしい死の宣告に近いものがある。
得体の知れない巨人に対して、どうして恐怖を抱いているのか。それが分からない。
得体の知れない巨人に対して、恐怖を覚えるのであるならば知ればいい。そう私は思った。そして、巨人の顔を見ようとした。
そこにあったのは巨大な私の顔だった。私という小人と巨人が同じ顔をしている。巨人の服装もよく見たら、私と同じ服装をしているではないか。
ふと、視線を感じると、巨人の私が小人の私を見つめていた。その表情はどこか無表情で、小人の私がいることに何も感じていないようだった。
そこで私は目が覚めた。あの夢は一体どんな意味が有ったのだろうーー。