第二夜
こんな夢を見た。
私は遠方の地にいた。その地には趣味の悪い孔雀の仮面を付けた男がいた。
男は高笑いをひたすらに上げていた。私は耳障りだと思いながら、男が見ているものを見る。するとそこには廃墟があった。豪華絢爛な廃墟である。
かつては繁栄していたであろう王国規模の無残な姿。その女王に対して嘲笑っている男。何故、高笑いを上げているのか。
それはかつて廃墟になる前は、男が王国を支えていたのだ。
生贄による柱。それをただひたすらに支えている日々。しかし、男が王国を離れたことによって、没落してしまった。没落から廃墟になってしまったのである。
しばらくして男が高笑いを上げ終えると、仮面に手をかけ外した。私は男の素顔を見ようと、横目で見ていた。
すると、そこにあったのは私の顔だった。鏡写しのようにそのままそっくりに。哀しげな表情を浮かべて。
嗚呼、そうだ。彼は私であり、私こそが彼だったのである。
あれはかつて私がいた場所だ。贄柱にされていた場所。
それを私は、私たちは眺め、末路を嘲笑っていた。高笑いしていた。
かつて、奴等が上げていた笑いを。今度は此方だというかのようにして。
生贄不在が招いた結末は廃墟になること。今ではその土地は更地へと変わっている。しかし、そこにある廃墟には瓦礫が遺っている。何故なのだろうか。それは分からない。けれども、そこにあった王国は湖に浸ったまま。
私が、私たちが見ていると、一匹の黒猫が廃墟となった王国を走り回り、茫然としている彼女の側に寄り添っているのが見えた。
不思議と黒猫と視線が合い、関わるなと言っているように思えた。何故なのかは分からない。けれども、彼女についてはそのままにしておいたほうが良さそうだ。
彼女を守る小さな騎士のように思えたのだから。
そこで私は目が覚めた。あの夢は一体どんな意味が有ったのだろうーー。