64食目 生姜焼き定食、優勝
「よっし、お仕事おわり! お腹すいた~!」
こんにちは、ヘンリエールです。
わたしが働いている商業ギルド『カゼマチ食品』の営業でいくつかの取引先のお店を回り、本日のお仕事はおしまい。
今日は外回りが終わったらそのまま直帰の許可を貰っているので、どこかでご飯を食べてお家に帰ろう。
「うーん、どうしよっかなー……お魚、お肉、麺類、お米……」
ちょうど最後の取引先のお店を出た所がレストランの多い繁華街だったので、美味しそうな匂いに釣られて目移りしてしまう。
「あっそうだ。久しぶりにあのお店に行こうかな」
〝アゲドキ食堂〟
カラン、コロン。
「いらっしゃいませ~! あ、ヘンリエールさん!」
「こんにちは」
わたしがイザヨイに赴任して初めて行ったごはん屋さんのアゲドキ食堂。
店名の通り特に揚げ物が出来立てサクサクでとっても美味しいんだけど、それ以外の料理も美味しくて満足できる、イザヨイの中でも大好きなごはん屋さんだ。
「こちらおしぼりとお冷で~す! お決まりになりましたらまた呼んでくださいねっ!」
「はーい」
さてと、今日は何にしようかなあ。
ここで初めて食べたコロッケ定食も美味しいし、野菜天丼も捨てがたい……
「ん……生姜焼き定食かあ」
そういえば食べたことなかったな。
今日会った取引先の方のお子さんが大好きらしくて、学校用のお弁当に作ってあげることが結構あるって言ってたわね。
ご飯が驚くほど進むおかずらしい。せっかくだからこれにしてみようかしら。
「すいませーん、生姜焼き定食のごはん大盛りひとつ!」
「かしこまりました~!」
お店の中に漂う美味しそうな匂いと、ジュワ~っと揚げ物を揚げ、炒め物のジャ~ジャ~パチパチという子気味良い音が聞こえる。
「うーん、お腹ペコペコだ」
………。
「お待たせしました~! こちら生姜焼き定食、ごはん大盛りになりま~す!」
「ありがとうございます!」
美味しそうな豚肉の生姜焼きに、キャベツの千切り。
油揚げとネギのお味噌汁、カブとナスのお漬物、そして大盛りツヤツヤの炊き立てごはん。
これは美味しそうだ……さっそく食べよう。
「森羅万象の恵みに感謝を。いただきます……はぐ」
……もぐもぐ。
「ん! こ、これは!」
急いで白米を口に運ぶ。
ジューシーな豚肉の甘じょっぱい味付けに、じんわり染みる生姜の風味。
これがごはんと合わさって最高の……最高に美味しい。
「こ、これはごはんが進みまくっちゃうわね……食べ過ぎ注意だわ」
この千切りキャベツと生姜焼きの食べ合わせもバツグンに良いわね。
ドレッシングかけなくても生姜焼きのタレでばくばく食べられちゃう。
「うーん、ごはんが足りなくなりそう! おかわりしちゃおっかな~」
わたしは夢中になって生姜焼き定食を食べ進めた。
―― ――
「お会計960エルになりま~す!」
「はーい」
「40エルのお釣りです! ありがとうございました~! またお越しくださ~い!」
「ごちそうさまでしたー」
…………。
……………………。
優勝。
【アゲドキ食堂/生姜焼き定食ごはん大盛り】
・お店:美味しい匂いと音がする素敵なお店。
・値段:安い。
・料理:めちゃめちゃ美味い。
ヘンリエール的総合評価:100点。
これにて完結! ご愛読ありがとうございました!




