59食目 牧場の搾りたてチョコミントアイス
「ごく、ごく、ごく……うーん、美味しい!」
こんにちは、ヘンリエールです。
今日はわたしが働いている商業ギルド『カゼマチ食品』の取引先の食材を作っている牧場に来ています。
〝ミヨギ牧場〟
「やっぱりミヨギ乳業さんのミルクは美味しいですね~!」
「いつもご愛用いただきありがとうございます。うちの牧場はアニマルウェルフェアと環境エンリッチメントを重視し、広大な土地で伸び伸びと育った牛のミルクを提供させていただいております。また、スーパーカウのような搾乳量を重視し生産効率だけを追い求めるようなこともせず……」
「は、はあ。なるほど」
正直なんか難しい横文字が出てきたので色々説明されてもよく分からなかった。
とにかく、この牧場で育てられている牛さんの搾りたてミルクはとても美味しいということだ。
「こちらの牧場では搾りたて新鮮ミルクで作られた濃厚アイスクリームも販売し、お客様にご好評いただいております。ヘンリエールさん、せっかくですから是非ご試食いただけないでしょうか」
「えっいいんですか? 是非是非いただきたいです!」
牧場の搾りたてアイスクリームなんて美味しいに決まってる。
しかも今の季節は夏真っ盛り、この暑さはある意味最高の調味料だ。
「お待たせいたしました! こちらがミヨギ牧場名物、搾りたてミルクで作った濃厚でクリーミーな……」
「ご、ごくり……」
「チョコミントソフトです!」
…………。
「えっ? チョ、チョコミント?」
「見てくださいこのミントカラーとチョコカラーの見事なスパイラルパターン……美しい」
「いや、あの、濃厚なミルクを味わうのにいきなりその、チョコミントは……」
「こちらのミントとチョコレートに使用しているカカオも弊ギルドが運営するミヨギ農場で栽培されたものでして、無農薬栽培で丹精込めて育てられた優良品でございましてね」
「な、なるほど。でもチョコミント……」
「おっと、あまり説明しているとアイスが溶けてしまいますね! ささ、どうぞお召し上がり下さい!
「わ、わかりました……」
いやあ、普通にバニラ風味のアイスクリームが食べたかったんだけどなあ。
チョコミントだとフレーバーが強すぎて濃厚なミルクの風味もなにもない気がする……
「そ、それじゃあいただきます。森羅万象の恵みに感謝を……ぱく」
…………。
「どうです? 口の中に広がる爽やかなミントの風味とビターなチョコレートのコラボレーション! まさに完璧なソフトクリーム!」
「ま、まあ……そうですね。とても美味しいと思います」
この、なんていうんだろう。
爽やかで濃厚な、歯磨き粉のような……いやミント強いってかちょっと青臭いなこれ。無農薬栽培だから?
「更に今なら期間限定でミントを通常の3倍使用したエクストラミントソフトも販売しております!」
「そうですか」
それもうミントが食いたい人用じゃない?
―― ――
「本日はお越しいただきありがとうございました」
「いえ、こちらこそ色々といただいてしまいまして」
「いえいえ、是非またいらしてください。弊ギルドの新鮮なミルクとチョコミントをよろしくお願いいたします!」
「は、はい……」
…………。
……………………。
わたしチョコミント嫌いなのよね。
【ミヨギ牧場/チョコミントソフト】
・お店:広くて良いと思う。店じゃないけど。
・値段:売ってるやつはまあまあ高い。
・料理:搾りたてミルクの味ないなった。好きな人は美味いんじゃね?
ヘンリエール的総合評価:40点。




