56食目 冷ややっこの美味さに気付いた夏
「うーん……夏バテかも」
こんにちは、ヘンリエールです。
最近の熱帯夜で寝不足になってしまい、疲れも残って食欲もちょっと減退気味。
「今日の夕飯どうしよ……」
最悪、家に帰れば完全栄養食のエルフードがあるのでそれを適当に齧っておけばそれなりに栄養は摂れる。
とはいえこのまま食欲がない状態が続くのはわたし的にあまり良くないんだよな……食事が趣味みたいなところがあるので。
「夏バテでもスルッと食べられてひんやり美味しい料理かあ……」
ダメだ、アイスやヨーグルトくらいしか思いつかない。
さすがに今日は激辛ラーメンやアツアツ鍋を食べる元気は無いしなあ。
「はあ……」
「そこの嬢ちゃん! もしかして夏バテかい? そんなときはこれ! 豆腐を食いねえ!」
「お、お豆腐かあ」
帰り道にある商店街をふらふらと歩いていると、お豆腐屋さんのおじさんに声をかけられる。
〝平豆腐店〟
「ウチの豆腐は薄い豆乳を凝固剤で固めたケチなヤツとは大違い! 栄養豊富なキツネ豆と天然にがりをたっぷり使った美味しい豆腐だよ!」
「そ、そうですか……」
どうやらここのお豆腐屋さんは昔ながらの天然にがりを使った製法で原料の豆もたくさん使って濃厚な豆腐を作っているらしい。
値段もスーパーの安い豆腐と比べたら3倍くらいお高いわね……豆腐なんてそんなに変わらないと思うのだけれど、どうなんだろう。
「暑い季節にはやっぱり冷ややっこ! 刻み海苔とネギとショウガを乗っけて食べると最高だよ! シンプルに醤油もいいけど、オススメは白だしのめんつゆ! かつお節を乗っけても美味しいよ!」
「ご、ごくり……」
なんだか冷ややっこの説明を聞いてたら食欲が湧いてきた。
一丁買って行こうかしら。
「冷ややっこはイザヨイ酒にもバッチリ合うよ!」
「二丁ください!」
―― ――
というわけで、お豆腐屋さんの専門的なちょっとお高いお豆腐を買ってきました。
「よし、できた!」
まあ、出来たって言ってもお皿にお豆腐を出して上に薬味乗せてめんつゆかけただけなんだけど。
でも酒場だったらこれで普通に一品料理として出てくるし、わたしも料理したって言っていいはず。
それではお豆腐屋さんの冷ややっこ、実力を確かめさせてもらいましょうか。
「森羅万象の恵みに感謝を。いただきます……はむ」
……もぐもぐ。
「…………うま」
お豆腐って、こんなに美味しかったんだ……
安いやつってめんつゆかけても無味というか、粘土みたいな食感がする気もしてあまり好きじゃなかったんだけど、これは全然違う。
濃厚な豆の味と、クリームチーズのような滑らかな食感……薬味との相性もバツグンでスルスル食べられる。
「こく、こく……ふぅ~! イザヨイ酒に合うわねこれは!」
わたしは夏バテも忘れて冷ややっことイザヨイ酒で晩酌を楽しんだ。
―― ――
「う……さすがに二丁は食べ過ぎた」
スルスル食べられてヘルシーなのを良い事に食べ過ぎてしまった。
二丁で……800gくらいかしら。
ちょっと身体が冷えてきたかも。
「今度は湯豆腐とかにして食べるのも良いわね……あら?」
気付いたらイザヨイ酒が4合ほど空になっていた。
…………。
……………………。
たしかに食べやすくて美味いけど、麻婆豆腐のほうが美味いわ。
【平豆腐店/冷ややっこ】
・お店:昔ながらの手作り豆腐屋
・値段:高い。
・料理:安いやつよりは美味い。
ヘンリエール的総合評価:70点。




