55食目 夏に食べる激辛ラーメン
「ふう、今日も暑いなあ……」
こんにちは、ヘンリエールです。
夏真っ盛りのイザヨイは今日も今日とて猛暑が続いています。
「あー、こんな日はツルっと食べられる冷麦とキンキンに冷やしたスイカが食べたい……あら?」
『やっほ~ヘンリエール。最近ご無沙汰じゃない。夏だからって冷たい物ばっかり食べてたら胃に良くないわよ。たまにはアツアツの激辛ラーメンでも食べにいらっしゃいな』
「ククルより……うーん、激辛ラーメンかあ……」
通信用の魔道具に知り合いのラーメン屋の店主さんからメッセージが届いていた。
この子はヴァンパイア族のククルという女の子で、わたしの家の近所で『どらきゅらぁめん』という深夜営業のラーメン屋さんを営んでいる。
「そういえば最近行ってなかったし、明日は仕事休みだし……うん、久々に行ってみようかな」
夜なら多少涼しいと思うし、夏にアツアツのラーメンを啜って汗を流すのも良いかもしれない。
「まあ、激辛ラーメンはちょっと食べられる気がしないからピリ辛くらいにしておこうかな」
―― ――
「いらっしゃ~い……あら、早速来たわね」
「えへへ、来ちゃった」
仕事から帰宅し、お店の営業時間まで空腹を我慢してククルのお店『どらきゅらぁめん』にやってきた。
「新作のラーメンがあるのよ。安くするから是非食べていって」
「安くするからって、あなたのお店値段関係ないじゃない」
「それはヘンリエールがいつも身体で払ってくれるからよ」
「やめなさいその言い方」
ヴァンパイア族のククルが店主を務めるこのラーメン屋では、通常の通貨の代わりに『血液』でも支払いをすることが出来る。
全員という訳じゃなくて、ククルが味(?)を気に入ったお客さんだけっていう話らしいけど。
「それで、新作のラーメンって?」
「夏限定のホットチリハラペーニョラーメンよ。ちょっとスパイシーだけど、チーズがたくさん入ってるからまろやかでそこまで激辛って感じにはならないと思うわ」
「そう……じゃあ、あなたの言葉を信じてそれにするわ」
「はいはーい。麵とチーズの量はヘンリエール盛りにしておくわね」
なによヘンリエール盛りって。
「あ、ヘンリエールの好きなミートエッグボールもサービスしちゃう」
「やった! だからククルって好き」
「ありがと。わらわも好きよ」
…………。
「はい、お待たせ。ホットチリハラペーニョラーメンのヘンリエール盛りでーす。冷めないうちに召し上がれ」
「わあ……」
ヘンリエール盛りは単純に麺とチーズの量が盛り盛りにされてるだけだった。
大盛りの1.5倍くらい盛ってあるけど……支払いが怖いわね。
「それじゃあ早速。森羅万象の恵みに感謝を、いただきます……ふー、ふー、ちゅるるっ」
……うん、美味しい。
トマトベースのスープに酸味の強いハラペーニョの辛味がとてもマッチしている気がする。
普通のラーメンには合わないかもしれないけど、ククルの作るラーメンとは相性抜群ね。
「チーズもトロトロ。これをミートエッグボールと一緒に……はぐ。ん~! 最高ね!」
チャーシューの代わりに入っているのはミートエッグボールという、ウズラの卵が中に入っているミートボール。
これとチーズを一緒に食べるともう最高。
「ふー、ふー……ちゅるる……辛くてあっつい……でも美味しい」
「……ふふ。後でライスも入れる?」
「入れる!」
わたしは汗をかきながら美味しいラーメンを夢中で食べ進めた。
―― ――
「ごちそうさま。新作ラーメン、美味しかったわ」
「ありがとう。……それで、お会計どうする?」
「…………はい、どうぞ」
「ヘンリエールったら、自分から身体を差し出すなんて、そんな……興奮するじゃない」
「いいから早く吸いなさいよ」
…………。
……………………。
貧血状態でちょっと涼しくなった。
【どらきゅらぁめん/ホットチリハラペーニョラーメン、ヘンリエール盛り】
・お店:ラーメン屋感が薄いオシャレなお店。
・値段:貧血になる覚悟があればほぼ無料。
・料理:チーズがたくさん入ってるおかげで辛みがマイルドになってめちゃうま。
ヘンリエール的総合評価:88点。




