第50話 リスタート
「全部出し尽くしたのにな」
部屋のテーブルの上に折り目のついた2枚の白い紙が無造作に置かれている。
その紙には不合格の2文字。
「何が足りないっていうんだよ……」
陸人が頭をかきむしった。
どれくらい時間が経っただろうか。
気付くと外は真っ暗だった。
喉が渇いた僕は冷蔵庫を物色しに行く。
麦茶にしよう。
僕は太郎の淹れてくれた麦茶のポットを冷蔵庫のポケットから持ち上げ、冷蔵庫の扉を閉めた。
バタン
クシャ
冷蔵庫の扉に貼ってあったメモと思しき紙が床に落ちた。
僕はそれを拾い上げる。
紙を表にして冷蔵庫に貼り直そうとした時。
紙に新たな文字がぐにゃりと浮かび上がってきた。
――――――――――指令②
3ヶ月間お疲れ様でした。
残念な結果とはなりましたが、アイドルオーディション、そう簡単に受かる物ではありません。
正直私どもとしましてはここからがスタートだと思っております。
いわばこの3ヶ月間は準備期間、下積みの下積み、とでもいいましょうか。
あなた方ご自身でどこまでやれるか見せていただいた形になります。
ただ、ご自身の力でやれることはおそらくここまででしょう。
ここからは外部の手を借りてみてはいかがでしょうか?
お二人に足りないものが何なのか、手がかりが掴めるかもしれませんよ。
現在の日本にはアイドル養成学校なるものが数多くあります。
その中でも実績を残し始め、かつ、お二人でも受け入れていただけそうな学校を探しておきました。
以下がその詳細です。
ここでは随時、入学試験、とでも言いましょうか。
オーディションが開催されております。
ご都合の良い時に参加されてみてはいかがでしょうか?
まあ、NOという選択肢は無いでしょうが。
と、いうことで本日の指令は以上になります。
失礼いたしました。――――――――――
「陸人!」
紙を持って陸人の所に戻った。
読み終わると陸人が口を開いた。
「いやここの入学試験、倍率2~3倍だって!
受かるのか?」
「待て待て。
慌てるな。
僕を誰だと思ってる?
あのsayshow NAGONのメンバーだぞ?」
「今は違うけどね」
「まあ冗談はさておき、それなりの基礎はあるはず。
アイドルオーディションには受からずとも養成学校のオーディションなら太刀打ちできるんじゃないかな」
「そうかな……」
「僕たちまだまだのびしろだらけだからな!
僕らの将来性を買ってくれるさ!」
「そうだといいんだけど……」
不安げな陸人を横目に僕は早速履歴書を書き始めた。




