第46話 野生
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
今日もまたいつものように授業が始まる。
いつものように教室には沢山の生徒がいて、いつものように俺は四方八方を沢山の人間に囲まれている。
そう、いつものように。
ぐぅ〜
お腹が鳴った。
寝坊をしてしまって朝ごはんを食べ損ねたんだった。
唾液が溢れてくる。
かぐや姫と出会う前の自分が現れてしまいそうだ。
必死で気を紛らわそうとする。
手に持つシャーペンで手の甲を刺してみたり。
シャーペンを置いて自分の手をつねったり。
カタッ
何かが落ちた音がした。
それは俺の足元に転がってきた。
誰かのシャーペンだった。
無視するわけにもいかず、椅子を引いて拾った。
「あーそれ、俺の。
ありがとう」
後ろの席から聞こえる声。
仕方なく振り返り、シャーペンを手渡そうとした。
…………ガルルルルルルル
……!
……やめてくれ、俺はもう人間なんだっ……!
……ガルルルルルルル
……っ止めろ、止めるんだ……っ!
「ガァァァァァァァッ!」
「キャァァァァァァァア!」
俺の耳に微かにクラスメイトの悲鳴がこだまする。
「陸人っ……!」
太郎が駆け寄ってくる姿が視界に入った。
やめて、やめてくれ、今近付いてきたら太郎も傷つけてしまう……
気付いた時にはもう遅かった。
目の前には血だらけの人間が二人、倒れていた。




