第45話 大盛況
アルバイトを始めて1週間が経った。
俺も調理に慣れてきて余裕が出てきた。
ふとホールを見ると太郎が囲まれていた。
「ありがとうございます!
キャーカッコいいー!」
若い女の子たちから歓声を浴びている?
「私も私も!」
代わる代わる女の子が太郎の隣にやってきて、スマホでツーショット写真を撮っている。
もはや仕事になっていないではないか。
俺はエプロンのポケットに入ったタオルで手を拭きながらホールへ向かった。
女の子たちをかき分けてやっとの思いで太郎のもとに辿り着いた。
「太郎!」
「おっ、陸人!」
「何やってんの、仕事して仕事!」
「何って、ファンサービス!
僕の美貌が話題を読んじゃったらしいよ〜。
もう、まったく困ったもんだ〜」
「え!
こっちの人もカッコいい!
写真撮ってください!」
一人の女の子がそう言うと、俺は瞬く間に大勢の女の子たちに囲まれてしまった。
よく見ると、お店の外にも行列ができていた。
遠くの方からは店長の視線を感じた。
大盛況だった営業が終わると太郎を急いで呼びに行った。
「太郎!」
「陸人もなかなかの人気だったなぁ。
僕には負けるけど!」
太郎は俺の肩に手を回してきた。
「じゃなくて。
なんであんなことに!?」
俺は太郎の手をどける。
「あー。
なんかSNSでバズったみたいだよ」
そう言うと太郎はスマホの画面を見せてきた。
――――――眼福!
ソイミートバーガー専門店にイケメン店員現る!――――――
その記事にはものすごい数のいいねが付いていた。
「すご……」
「すごいだろ?」
「いやでも、お店に迷惑かかっちゃってるから。
もうここで働かせてもらうわけにはいかないよ」
「せっかくこんなに人気なのに?」
そう言った太郎の視線が俺の後ろに移動した。
「店長!」
俺の後ろからひょいっと出てきた店長。
「すみません、店長!
今日限りで俺たち……」
「いやー大賑わいだったなー!
こんなに売れたの初めてだよ。
これからもたくさん集客してくれ!」
「店長……!」
「はいもう今日は疲れただろう。
帰った帰った。
また明日も売り上げ記録、更新してくれ!」
お店の裏のロッカーの方向に俺たちの背中を押しながら言った。
「店長!
ありがとうございます!」




