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第2話 オオカミ
ああこのまま俺は死んでいくんだ。
なんて惨めな。
腹に詰められた石も窮屈そうにしている。
いや、動き出した?
なんだお前たちも陸が恋しいか?
石たちが移動していく感覚。
背中に移動していく感覚
皮膚と石が一体になっていく感覚。
第3話 石
俺はオオカミだった。
だった?自分で言いながらも首を傾げる。長い首を。
確かにオオカミだった、と思うんだが…
自分の体を見ようにもなかなか身動きが難しい。
もしかして、俺…亀になった?
石が甲羅に、なった、のか…?
亀になったオオカミ?
亀になった、ってことは陸に戻れる!
よしこんな目に合わせてくれた赤ずきんたちに復讐をしてやろうじゃないか。
待ってろよ赤ずきん。
この光景を見ている者がいるともつゆ知らず、オオカミはゆっくりと歩み始めた。