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第27話 人間
この世界に来てから1週間が経った。
家の中の勝手もわかってきて、人間の暮らしというものにも慣れてきた。
浦島さんは相変わらず優しいし、人間って意外といいものなのかもしれないな。
でも俺は焦っている。
確実に焦っている。
あと1ヶ月ちょっとで高校生としての暮らしが始まるのだ。
日本の人間は通常、高校生になる前に小学校・中学校というところに通って勉強するらしい。
その期間、実に9年。
その分の穴を俺は1ヶ月ちょっとで埋めなければならないのか?
考えただけで気が遠くなりそうだ。
「浦島さん!」
「おうよ!」
姿見越しに目が合う。
「そろそろ、勉強、しません?」
浦島さんがこちらを振り返った。
「いやーまだいいかな、来週くらいでいいな。
それよりダンスの練習しなくちゃだろ?」
「どっちもするんです!」
浦島さんが目をまんまるくさせた。
「オオカミくんってやつは勤勉だな〜!」
そう言うと、浦島さんはまた姿見に体を向けた。
なるほど。
人間ってこういうところもあるんだな。
人間、おもしろいじゃん。
とりあえず俺だけでも勉強を始めよう。
「浦島さん、そろそろ自分の部屋に戻りますね!」
「はいよー。」
「お邪魔しましたー。」




