第17話 初めて
日が暮れてきた。
「そろそろご飯にしないか?」
「いいですね!
お腹空きました!」
「あいにく俺はこんな状態だ。
何か作れるか?」
「…いいえ。
私今までお手伝いさんに調理を担当していただいていたので包丁も持ったことがありません。」
「そうか…。」
「教えてもらっても、いいですか?」
かぐや姫の目が輝いている。
「よし!」
「はい、やりましょう!」
こうして俺たちの初めての料理教室がスタートした。
しかし彼女は砂糖と塩の違いもわかっていなかった。
「その棚に俺がオオカミだった時に裏庭で作った小麦があるからまずそれを出してください。」
「えーと、どれでしょう?
これ?」
彼女が取り出したのは米びつだった。
「それはお米。」
「お米ってこんなカチカチなんですね!
初めて見ました!」
「それなら小麦はやめてご飯を炊くことにするか。
隣の棚から釜を出して欲しい。」
「釜ですね。
あった、これですね!」
「それにお水を入れて、お米を洗います。」
「はい。」
そう言うとかぐや姫は釜にお水とお米を入れてさらにそこに洗剤を入れようとした。
「待て待て待て待て。
洗剤は要らない!」
「そうでしたか。
すみません。」
そう言うと次はお米一粒を手に取って丁寧に洗い始めた。
「違う違う違う!
そんなことやってたら日が暮れちゃうから!」
本当に彼女は何も知らない箱入り娘だった。
でも、そんな彼女のことが愛おしい。
俺が一生彼女を守ってやらなきゃ。
ようやくご飯が炊けた頃にはすっかり真っ暗だった。
「できた…!」
ふっくらとはいかないものの、初めてにしては十分な出来のご飯が炊けた。
「お疲れ様。
ありがとう、俺の分まで。」
「そんなそんな。
わからないことだらけでごめんなさい。
ご迷惑を…」
「気にしないで。
最初はまあ…みんなそんなもんさ。」
「美味しい!」
「美味しいな。」
初めて作った俺とかぐや姫のご飯の味は一言では言い表せない奥深さがあった。
おかずは無かったけれど。




