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第11話 自己管理能力の欠如
しかしそんな時間は長くは続かなかった。
ついさっきまで星の煌めいていた夜空から筋の様に雲が降りてきた。
雲に人影が映る。
「姫。」
「誰だ。」
オオカミの目が鋭く光る。
「私は天からの使いだ。
姫。」
「えっ?」
かぐや姫の顔が強張る。
「王との約束を忘れてしまわれましたか?
あれだけ歌ってはいけないと言われていたではないですか。」
使いの背後から新たな雲が湧き立つ。
その雲に新たに人影が映る。
「お前の歌が下界の生物に与える影響は大きすぎると言ったではないか。」
「お父さま…
すいません。
もう、二度と、歌いません。
ですから…」
「一度約束を破ったものにチャンスを与えるつもりはない。
使いと天上界に帰ってくるがいい。」
「そんなっ…!」
オオカミの手がかぐや姫の手を包む。
「かぐや姫、ごめん俺なんかのために。」
「オオカミさんはなにも悪くないです。
すべては私の自己管理能力の欠如によるもの。
オオカミさん、ごめんなさい。」
「さっさと帰ってこい。」




