第九話 ~入学その1~
村を離れてからしばらく馬車に揺られて、ロトスの街に着いたのは昼過ぎだった。
横で寝ていたシルンを起こして馬車から降り、
そのまま、町の中心に見えている一番大きな建物に向かって進んでいった。
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「ここがロトス魔法学校...! すっごくおおきいね!!」
建物に到着して一番最初に出た感想は、ただただデカいということだ。
「あんまり騒いで問題を起こさないようにね。」
口ではそういったものの、ガウルも内心ワクワクしていた。なにせ生まれてこの方、あの村以外の街や村を見たことが無いのだ。
ここロトスの街は、ここら周辺では一番大きい街で、様々な建物や、人々が住んでいた。
そんな中でもひときわ大きい建物が、ロトス魔法学校である。
ロトス魔法学校は、通常5歳から15歳までの10年間通うことになる。
ー自分たちはどの学年から始めるのだろうか。
そんなことを考えながら、校長の所を訪ねた。
最初、門番の人は二人のことを見ると ーなんだこのガキは?
と、言わんばかりの眼差しでこちらを見てきたが、推薦状を見せると、すぐに校長のもとへと案内してくれた。
「君たちが、彼の言っていた子で間違いないようだね。ここは、ロトス魔法学校、君たちのような才能のある子は大歓迎さ!」
「これから宜しくお願いします。」
「こっ、これからよろしくお願いします!」
二人は、口をそろえてそう言った。ガウルはさらに、
「僕たちは、どの学年からスタートするのでしょうか。やはり一番下から始めるべきでしょうか。」
と、疑問に思ったことを聞いた。
すると、「ははっ、君はずいぶんとしっかりしているんだね。それについては今から説明するよ。」
「君たちは、これから簡単な試験を受けてもらって、その結果で参加する学年を決めてもらう。なにせ君たちは、特待生としてこの学校に入学するんだからね。」とのこと。
「テスト? 具体的には何をするんでしょうか。」
「簡単だよ、各属性の魔法をどの級まで使えるか、それを見せてくれるだけでいい。」
「わかった!全力でやるね!!」
そう言ったシルンは、妙に張り切っていた。
ー心配だ、やりすぎないといいんだが...
そんなことを考えながら、入学試験が始まるのであった...