第八話 ~旅立ちその2~
「そろそろ、ロトスに行くんじゃ。」と、言われた数日後のこと...
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「お父さん、お母さん、それでは、ロトスの街に行ってきます。」
「ああ、お前に魔法の才能まであるとは、父として誇らしいよ。」
「向こうでも頑張りなさい、でもあなたはまだ子供なんだから、何かあったら遠慮なく帰ってきてもいいのよ。」
と、ガウルは両親と話をして、シルンを迎えに行った。
エウルドやローズは態度にこそ見せなかったが、内心心配してるのだろう。当然だ、まだ7歳の子供が町まで学びに行くのだ。
本当なら、「行くな。」と止めてもおかしくはない。
だが、この二人は、ガウルを止めることは将来のためにはならないと、そう考えたのだ。
ガウルも当然そのことに、気づいている。だからこそ別れは手短に済ませようと思ったのだ。
ーあんまり長く話すと、泣いてしまうだろうな。
そう考えた。
しかし、シルンはそうもいかなかったようだ。
ガウルがシルンの家に着いたとき、シルンは泣いてこそいなかったものの、目元は潤んでおり、泣いた跡がくっきりと残っていた。そこで、
「シルン、もういいのか?」と聞いた。それに対してシルンは、
「うん... もう大丈夫だから、いこ?」といった。
それを聞いたガウルは、少し驚いた。
ーまだ、別れをお惜しんでるのか。と、
そう思ったからだ。
それから二人は、お世話になった村の人の所へ行って感謝を伝えた。
そして、村の入り口に行くと、おじいさんが待っていた。
そこには、町から来た馬車も止まっていた。
「おじいさん、短い間でしたが、僕たちにこんな機会をくれてありがとうございます。」
「おじいちゃん、ほんとにありがとね!」
口をそろえてそう言うと、おじいさんは少し目に涙を浮かべながら、こういった。
「わしも、こんな才能のある若者二人に出会えたんじゃ、こちらこそ感謝したいくらいじゃ。」そう言った。
そして、二人は馬車へと乗り、老人はロトスとは違う方向を向いた。
最後に互いに、「さよなら。」と告げて、出発したのであった...