第四話 ~才能~
まさか一回で成功するとは思ってもいなかったガウルは、シルンが駆け寄ってくるまでの少しの間、自分の手のひらを眺めていた。
「一回で出来るなんて、やっぱりガウ君はすごいね!」
シルンは駆け寄ってきてそう言った。
「いやいや、こんなちっぽけな火の球しか出せないし、そんなに凄くないよ。」
ガウルはそう口では言いながらも、心の中では、
―やっぱり魔法の才能もあるんだなぁ〜
僕に出来ないことなんてないのでは?
なんて考えていた。
そして、シルンにもやってみなよと伝える。
「シルンもやってみなよ。」
「うーん、どんなのが良いかなぁ?」
「僕は火だったし、水とか氷とかはどう?」
なんて言うと、シルンはワクワクが抑えられないといった表情で、
「よぉーし、私もやってみる!」
と言い、唸り始めた。
ガウルはそんな姿を見て、微笑ましくもなりながら、
—おじいさんも中々居ないって言って言ったし、シルンには出来ないかもなぁ〜
と、甘いことを考えていた。
その直後、ガウルの目の前で、信じられないことが起こった。
そう、シルンもガウルと同じく一回で成功させたのだ。
しかし、ガウルが驚いたのはそこでは無く、魔法の規模だ。
ガウルが出せたのは卵くらいの火球だったが、シルンは目の前に2メートル以上の大きさの氷塊を出現させたのだ。
「やったぁ! できたぁ!」
なんて喜んでいるシルンを横目に、ガウルはショックを受けていた。
この日初めて、ガウルは自分よりも才能のある子を見つけたのだ。
―う、嘘だろ? ありえない、こんなの、どう考えたって規格外だろ。
そう思い唖然としていたが、次の老人の言葉で思考を現実に戻す。
「おぬしら、どちらも素晴らしいのう! 特にシルンはすでに銅級魔法レベルじゃ! これは、100年に一度の天才かもしれん!!」
「二人ともわしが推薦状を書いてやるから、魔法学校に入学せい!」
そう聞いたガウルは一つの疑問を投げかけた。
「シルンはまだしも、あんな小さな魔法しか出せなかった僕も推薦してくれるんですか?」
そう、シルンは確かに天才かもしれないが、何故僕まで? と、疑問が浮かんだのだ。
すると老人は朗らかに笑いながらこう言った。
「なんじゃ? シルンの才能は凄まじいが、おぬしも大概じゃぞ、本来なら3歳くらいから魔法に慣れさせてやっと、スタートラインに立てるというのに、二人ともその過程を吹っ飛ばして成功させおった。」
「これから一か月くらいはこの村に居させてもらえることになっておるし、みっちり鍛えてやろう。おぬしらのセンスがあれば、ロトス魔法学校に入学しても周りに引けを取ることはないじゃろうしな。」
そう言って老人はガウルとシルンの頭を撫でて笑った。
そんな言葉に少し疑問を感じながら、老人と二人の一か月間の特訓が始まるのであった...
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