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怪談百物語  作者: 安城朱理
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第八十七夜 ラジオ

 ラジオを聞くのが趣味というBさんの話。

 今から二十年前のこと。Bさんは特に深夜一時からスタートするお笑い芸人がパーソナリティーをしているラジオ番組が好きだった。週に一度の楽しみ、その日も布団に入りながらラジオの電源を入れた。

 一時間ほど経って、番組も中盤に。するとふっとラジオが電波を拾わなくなった。ノイズがザザッと声をかき消し、もはや雑音以外には何も聞こえなくなってしまった。どこか近くで、何かが電波に干渉しているのだろうか。せっかくの楽しみがこれでは台無しだ。

 Bさんはラジオのアンテナを方々へかざして、どうにか電波がクリアになる場所を探した。

 すると、急にノイズが消えた。真夜中の部屋の中は無音に包まれている。

 しかし、ラジオの電源が切れたわけではない。チャンネルを変えていないわけだから、電波干渉が解消されたなら番組の声が聞こえてくるはずなのに……

 Bさんはラジオのスピーカーに耳を当てると、かすかに誰かが話しているような声が聞こえてくることに気付いた。

音量のつまみを少しずつ回して大きくしていく。するとぼんやりとしていた声が次第に輪郭を表していく。

 それはお経だった。低い男の声で、一定のリズムを崩さずに淡々と唱えているのがはっきりと聞こえてきた。

 Bさんは驚いてすぐにラジオの電源を切った。淡々と流れていた異様な読経は、ぷつりと途切れて沈黙した。夜半の静寂が部屋中に充満している。Bさんはあの声がなんなのかをもう一度確かめる勇気もなく、恐怖に駆られてそのまま布団をかぶって眠ってしまおうとした。

 電気を消灯して、布団に入る。自分の心臓がどくどく脈打っているのがわかる。

 しかし、次の瞬間、Bさんの耳元で聞こえてきたのは、消したはずのラジオから聞こえてきた、あのお経だった。


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