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第八十一夜 バンジージャンプ
I市にある山間に、かつて自然を利用したテーマパークが営業していたが、そこはいまとなっては廃墟となっている。現在は立ち入り禁止でその中に足を踏み入れることはできないが、ひとつだけ遠くから見ても一際目立つ塔がある。それは高さ二十メートルのバンジー台であり、営業中はなかなか人気のアトラクションのひとつだったという。
しかし、そのバンジー台にはこんないわくがある。
とあるお客さんがそこでバンジージャンプしようとしていたときのことである。事前の説明と係員の入念な装備のチェックを経て、カウントダウンでいざ台から飛び降りた瞬間、逆さまになる視界の端に、白い服を着た女の体が一緒に落ちてくるのが見えた。
「あ!」
ひもが伸び切って反動で上に引っ張られる。視界が大きく揺らぐ。
落下事故だ、と思ってすぐにさっき見た女の姿を確認しようと地面を見たが、そのようなものはどこにも見当たらない。
不思議に思って、すぐそばで見ていたはずの係員にもそのことを伝えたが、誰かが落下するなんてことは見ていないというのである。
そんなふうに落下する女の目撃談が頻発したことで、バンジー台のアトラクションは一時稼働停止することになった。しかし、復帰することなく、まもなくテーマパーク自体も経営難で廃園が決定した。




