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怪談百物語  作者: 安城朱理
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第五夜 電柱に佇む女

 Yさんが夜、歩いて三分ほどの場所にある自販機まで買いに行った時のことである。アパートから出て住宅街の曲がりくねった路地を歩いていく。明かりもなくしんと静まり返る遠くの方で車の走る音がする。飛来虫が街灯の周りを飛び交っているのが見える。

 ふと、ゴミ捨て場になっている電柱のあたりに、ひとりの女が背を向けて立っているのが見えた。腰ほどまで伸びた髪の毛を強烈に覚えている。具合でも悪いのだろうか、ぴたりとして動かない。Yさんはそう思ってその後ろを通り過ぎようとした。

 しかし、なぜだか無性に嫌な予感がする。

 Yさんはその微動だにしない女から目を離さず、足早に路地を抜けて大通りに入った。

 自販機で缶ジュースを買い用を済ませる。Yさんがアパートに帰るには二通りの道がある。ひとつは行きと同じ道を戻る道。もうひとつは遠回りになるが逆方向から迂回する道である。Yさんは後者の道を選ぶことにした。

 大通りに沿って五分ほど歩き、脇道に折れてアパートまで向かう。すると、電柱の前で髪の長い女が佇んでいるのが見えた。

 同じ女! Yさんは戦慄した。しかし、どちらかの道を通らなければアパートにはたどり着けない。Yさんは再び意を決して女の後ろを通り抜けることにした。

 女の顔は髪に隠れて確認することができない。張りぼてのようにまるで生気が感じられず、それでいていつ急に動き出すかわからないような恐怖心さえする。警戒は怠らない。心拍の上がるなか、Yさんは何事もなく女の後ろを通り過ぎ、アパートにたどり着くことに成功した。

 いまだにその女が何者なのかはわからない。しかし、Yさんはそれから何度か電柱に佇む女を見たという。


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