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怪談百物語  作者: 安城朱理
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第四十七夜 狸の怪

 満月の夜のこと、Eさんが山道で車を走らせていたところ、急に飛び出してきた狸を轢いてしまった。車を降りて確認してみたが、まだ狸には息があった。足を折っているようでたどたどしく歩きながら、喘ぐ口先からは真っ黒い血を吐いている。どうせ助からない……Eさんは狸を見捨てることにしてそのまま車を走らせた。

 その三日後、再びその山道を通る機会があり、そういえばとあの狸のことを思い出していた。きっと死んでしまっただろう……いや助けようとしたところで動物病院が受け入れてくれるだろうか……あの事故は運が悪かったんだ。そう思いながらカーブを曲がろうとしたときである。ヘッドライトが山道の脇にある光る物体を映し出した。

「もしや……」

 いやそんなことはないと思いつつも、確認しなければいけないような気に駆られ、車を路肩に停めた。

 物体はやはり狸だった。とはいえ生きている狸ではない。よく店先になどに置かれている信楽焼の置物である。

 しかし、三日前にここを通った時にはこんな目立つような置物を見た覚えがない。場違いなものがあればそれだけ記憶に残っているであろうし……あの後、誰かがゴミとして不法投棄でもしたのだろうか?

「いや……まさか」

 轢いてしまった狸が化けて出たのか……?

 Eさんは怖くなって急いで車に乗り込んで発進させた。

 しばらくはその山道を通ることは避けていたものの、約一か月後、どうしてもそこを通らざるを得なかった夜、そのカーブに差し掛かっても信楽焼の狸を見ることはなかった。


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