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怪談百物語  作者: 安城朱理
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第四十二夜 空を切り裂く目

 目玉と言えば、かつて稲見さんが話してくれたものに、こんな話があった。


 彼女が七歳の時である。学校からの帰り道、ふと空を見上げると青いパステルカラーに染まった中に、急に一線、黒い裂け目が現れた。

それはやがて巨大な眼球となった。彼女の住んでいる町全体がすっぽりと覆われてしまうくらいの大きさである。稲見さんはその目にくぎ付けになったという。

目はまっすぐに彼女を見つめているようだった。しかし、これほど大きいのに周りの人間は誰一人として気付いていないかのようにさっぱりとしている。私だけが見ているのだ。

気付くとその目は跡形もなく消えていた。まだ幼かった稲見さんだったが、不思議とそれに恐怖を覚えなかったという。

それから彼女には霊が見えるようになった。

「あの目は洗礼のようなものなんでしょう。あの目に私は選ばれた……」

 どうして幽霊が見えるようになったのか、という質問に彼女はそんなエピソードを語ってくれた。


 思い返してみれば、まったく霊感のなかった私が最近幽霊をたびたび目撃するようになったのは、彼女のノートに書いてあったあの目を見たときからだった……。

 いったい彼女が私にどうして欲しかったのかはいまだにわからない。ただ、彼女の信念を引き継ぐことを望んでいるとすれば、私はこの怪談集を完成させることが供養のひとつになるのではないか、とそう思っている。もし、私がその目に選ばれたのならば――


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