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怪談百物語  作者: 安城朱理
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第三夜 喪服の女

 これはEさんが小学三年生の時に体験した話である。その日、学校の授業が終わりクラスメイトの何人かと放課後、校庭で遊んでいた。すると、そのうちの一人が三十メートルほど先にある体育倉庫を指さした。Eさんはその指のさす方向を見ると、体育倉庫に隣接する石灰置き場の扉を開けて女がゆっくりと入っていくのが見えた。顔はよく見えなかったが、セミロングの黒髪に喪服のような全身が黒い服をまとっている。

「あの人誰?」

「さぁ、先生じゃないよね」

「あんな人いないよ」

 クラスメイトとそんな会話を交わしたが、何かしらの用事があったのだろうとそれ以上話題には挙がらなかった。

 こんな時間に学校に出入りするような大人と言えば、先生のほかに学童保育の迎えに来た保護者くらいだろうか。しかし、それならば石灰置き場に用があるとは思えない。それに、なぜそんな場所に真っ黒い衣装で入っていくのだろうか……?

 Eさんはなんだか嫌な予感がしてしばらく体育倉庫を眺めていたが、十分経ってもその女がそこから出てくることはなかった。Eさんも何の進展もないことを監視するのにも飽きてクラスメイトとの遊びに加わった。

 午後五時ごろになってそろそろ家に帰ろうという頃になり、Eさんたちはそういえばとあの石灰置き場を調べてみることにした。

 扉は閉まっていた。しかし、最初から鍵は開いていたらしい。おそるおそる扉を開けてみると大人一人が入るには少し窮屈な石灰置き場はがらんどうとしていた。帰ったんだろうな、とクラスメイトの一人が言う。確かに目を離していた時間は長いから、その間に何かしらの用を済ませて帰ったのだろう。そういうことにして扉を閉めようとしたとき、Eさんはあることに気付いた。

「ねえ、床にこぼれてる石灰……ひとつも足跡付いてないよ」

 それからEさんはその女を見かけることはなかった。


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