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怪談百物語  作者: 安城朱理
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第十夜 集合写真

 Sさんは友人と女二人の東京観光を楽しんでいた。上野動物園や国立博物館などを見て回り、浅草に到着すると、友人が記念に雷門をバックに写真を撮ろうと提案した。すると、雷門を眺めていたひとりの男性に声をかけ、写真を撮ってもらえることになった。

「はいチーズ。確認お願いします」

 渡されたデジタルカメラの画面をみると、なぜか雷門の中央に立っているSさんたちが大きく右に偏っている。映す必要のない写真の左側が十分なスペースをとっていて非常にバランスが悪い。

 これは下手な人にお願いしてしまったか。と思ったが、撮影してくれた好意をぞんざいに扱うこともできず、事故の可能性もあるため、友人はもう一度だけ撮り直しをしてもらうことにした。

「この雷門を中央に収めてもらってもいいですか?」

「ああ、わかりました」

 男性がカメラを構えると、少し困った顔をしつつ、シャッターを押した。

「これでどうでしょうか?」

 写真を確認すると、またしても、左側の空間が多く占められている。主体となるはずの雷門とその前にいるSさんたちは窮屈そうに右に寄ったままである。

 やはり下手な人なんだ。そう思ってSさんたちはひとまずお礼を言って男性と別れた。


「ねえ、ここからスカイツリーが見えるよ」

「ほんとだ。よく見える。良いスポットかもね」

 隅田川を挟んだところにあるテラスからは東京スカイツリーが映えるようにそびえたっているのが見える。よく晴れた空と相まっていい景色である。それに穴場なのかほかに観光客もおらず、ほぼ独占的に堪能することができた。

「ねえ、写真撮ってもらおうか」

「さっきみたいなことにならない?」

「二度目はあり得ないでしょ。あれはさすがに下手すぎるわよ」

 友人はたまたまお通りがかった女性に声をかけると、写真を撮ってもらえることになった。

 しかし、その女性もファインダーをのぞく際、やはり少し困った顔をする。

「じゃあ行きますよー。はい、チーズ」

 撮ってもらった写真を確認させてもらうと、Sさんは絶句した。さっきの男性が撮ったのと同じようにSさんと友人、その延長線上にあるスカイツリーが写真の右側に偏り、何もない左側はひどく閑散としてしまっている。

 さすがに違和感を覚えたSさんは女性に理由を尋ねてみた。すると女性は困った顔でこう答えた。

「すみません。でも〝全員〟を一枚に収めるとなるとこうするしかなくて……そちらに横並びになっている八人の方もお連れの方ですよね? ずっとくっついていたので」

 女性は誰もいない場所を指した。Sさんと友人は凍り付いた。ふたりは見えざる者たちと観光していたというのである。

 その写真は気味が悪くすぐに消してしまったというが、Sさんはそれ以来道行く人に写真を撮ってもらうことは控えるようにしているという。

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