無、しらね〜舟ヲ漕グ 〜
午前四時だね。
君が考える海の旅は楽しいものですか。木舟に一人で乗り櫂を動かして、出航を見送られたら孤独な日々が始まることに不安も覚えました。
僕は物語を読み想像や夢で体験したくらいで、実際に漕いだ場所は川くらいです。水の流れに乗ったり逆らったりなんて、遊びのようでした。
漁師とか海の男たちに話を聞いて、本当に甘く見たら死ぬぞと言葉は強く刺さっています。自然の力を前に命を賭けていて、重みがありました。
第四百十三番のテーマは、舟人です。行き先を決めず苦しさの中で、生きようとする様を描きました。評価は選作で、弾き強く力み歌います。
「大海原へ舟を出し
水平線の其の先へ
右に左に櫂で漕ぎ
岸の人へ振り別れ
独り旅の行く末は
私自身も解らない
波に揺れ眠るとも
光や音に起されり
嵐が訪れ挫けそう
雨に濡れ諦めそう
思い出す郷の歌よ
還り吟み力を与え
朝は昼は舟を進め
夜は月の下で寝る
陸を離れ海を漂い
幾日々と繰り返す
水の流れ委ねして
時に流れ逆らうた
糧も失い倒れとも
命を削り辿り着く
恋し寂し私の家は
遠い所で在り続け
胸の中に幼き夢よ
彩り溢れ力と成る」
……勇気を出して、本当に良かった。最後まで聴いてくれて、ありがとう。
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