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秋、みのり〜郷ハ紅ニ 〜
こんにちは。
君の街で見られる秋の色は深まったかなと、懐かしき地に想いを馳せて居ました。晴れた空は青く澄み渡り、吹く風は冷たいです。
僕は道の上に立ち辺りを見れば、稲の穂が光を受けながら揺れています。十月を迎え刈り時だろうと、田んぼが寂れるを惜しみました。
並木の枝に視線を移すと、枯れ葉が寒そうに震えては離れゆきました。余りにも静かにと、落ちる様はさよならを思わせるのです。
第四百四番のテーマは、今頃です。最後の景色を目にしつつ、筆を執りました。声を高らかにゆったりと、憶えを映すべく歌います。
「秋深み行く 郷の色
稲穂が揺れて波を打つ
蜻蛉は竿に 眩しけり
空晴れていて青み染み
並木の続く 道の上
枯葉がひらり風に乗る
蛙手も紅く 移りけり
音無く落ちて散り別れ
黄昏に鳴く 烏の手
夕焼けていた山を見た
言葉に難き 映るなり
時刻を忘れて座り入る」
……勇気を出して、本当に良かった。最後まで聴いてくれて、ありがとう。
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