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秋、みのり〜曇モ咲ク 〜
午後四時半だね。
君も今やっと帰りに就けた頃だろうか。疲れを感じながら空を見れば、灰色の雲が続いていたよ。暗さや重さはなくて、前を向けました。
僕はいつものように家へ歩いてたらふと、道の端で咲いている一つの花に目を止めたんだ。気付かないほど背が低くて、見たのは初でした。
天気は良くないし光は差さないしと、色も翳んでおかしくないのに、周りが枯れゆく中で光り輝き、存在を教えてくれました。
第三十二番のテーマは、花と曇りです。この日この時に見たままを、忘れぬように書き留めて歌います。
「秋の終わりも咲く花よ
空が曇りでも美しく
道を通る人に示す花は
闇も照らさん輝かん
身は朽ちても在る花よ
心に残るのは美しさ」
……勇気を出して、本当に良かった。最後まで聴いてくれて、ありがとう。
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