無、しらね〜空ハ赤ク 〜
黄昏だね。
君はどうしてそんなこと、言うのか聞きたくありません。病室の全てが白なので、清潔さより死を思わせました。姿が消えそうな感じでした。
僕は友達の中でも長い時を一緒に過ごしたからと、僕にとって特別な存在に対して涙を抑止なぞ考えられません。正直に見せるのでした。
治療法が確立しておらぬ病気に弱まりゆくこと、無力さに噛み締めるばかりです。余命宣告は非情なもので、覚悟を強いられます。
第二百八十三番のテーマは、病室です。刻々と夕日が赤く染める中で、胸中の時間は止まったようでした。声に難き願いや想いを歌います。
「ねえ、君は言ったよね
まだ、遣りたい事が有ると
諦めるには早すぎるよ
投出された手を握り締めた
ああ、空は赤く焼けて
ああ、夜が近づいて来たね
窓際でベッドを起こし
静かに誰そ彼ている寂しさ
そか、残された時間は
もう、残り長くないみたい
叶うならば生きて欲し
遠くへ逝かないで欲しいの
ああ、懐かしい日々よ
ああ、涙を抑えられなくて
明日も会えるだろうか
大切な一人のツナギビトよ」
……勇気を出して、本当に良かった。最後まで聴いてくれて、ありがとう。
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