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無、しらね〜道ヲ眺メ 〜
午後九時だね。
君はもう寝てしまった頃でしょうか。それともまだ、起きて何かをしているのでしょうか。空は星さえも無く真っ黒で、曇りみたいです。
僕は部屋の窓から夜道を見て、何台もの車が通り過ぎて行く様子を眺めていました。眠さにより翳んだ目と働かぬ頭が、思い懸けず撮りました。
何時か写真で見覚えがあるように、光は線を引き残っています。二本のそれは徐々に太くなって、列車が走るレールができました。
第二百四十四番のテーマは、夜道です。帰りが遅くなってしまった日を思い出して、夢が始まります。記憶を言葉に紡ぎ、調子は速く歌います。
「夜の九時 夜の道で
光は筋を引きながら
街の電灯 街の中を
車は走り去ってゆく
人の歩み 人の姿よ
手で掻き分けながら
家の灯り 家の戸へ
足を速め帰りにつく
空の暗さ 空の深さ
星が瞬き冷えながら
窓の眺め 窓の外で
夜は静か更けてゆく」
……勇気を出して、本当に良かった。最後まで聴いてくれて、ありがとう。
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