可愛い女の子
「……まだ普通だ」
あんなことがあったのにまだ学校は普通を保っている。
下駄箱に靴を入れて即座に上履きに履き替える、階段を一段飛ばしで軽やかに駆け上がる。
クラスに入るまで数メートル、1歩、2歩、3歩
大股で少し力を入れてほっほっほと進む。
そしてピシャッと音を立ててドアを開けた。
クラスメートはいっせいにこっちを見る。
「……なんだぁ、小野寺か驚かせんなよ。ほら銃かせみんなで話し合ってまとめるって話になったんだ」
1人の男子生徒がこっちを見て当たり前のように手を差し出す。
「へっ?」
間抜けな声を出して目が点になった。
「へ、じゃねえよ、馬鹿か人殺ししない為にも銃を集めて保管すんだよ」
来たばっかの私になんの話もなしに一方的に話を押し付けてくる彼。
……そうか、ここの人達はそういう決断をしたんだ。自分たちが生きるためにルールを作り楽になる手段を捨てたってわけね。
「誰がお前に預けるかばーか」
子供のような挑発をし、目の前の男子生徒の足に発砲する。
彼はそこに座り込み動けなくなる。
そして私はとある女生徒に銃口を向ける。
「ちょっと待ってよ、なんで私なわけ……」
理由はお前の胸に聞け。
数日前お前が私にしたことを私は忘れない。
席替えで隣になった私を目の前に隣キッツ! と大声でいいやがって。お前にとっては軽いことだっただろうけど私は気づ付いたぞ。
それから英語のペアワーク、いやいややる君のその目は冷酷な雪の女王のよう。私の事を嫌なものを見るような目をして見やがって。
まだまだ話す時他の人と違って声のトーンが低くなる。
あまり話さないけど授業で仕方なく口を開く時めちゃくちゃ冷たい態度を取ってものすごい空気にした事。
私だって君とは話したくない、けど頑張って勇気を持って話したんだ。だって平常点下げられる嫌だもの。そのせいで私はショックを受けて熱を出した。学校に来るはずだった時間を無駄に過ごしてしまった。
本来得る何かを得るための時間を無駄に過ごしてしまった。
それは罪深いことだ。
ただの逆恨みだってことは分かってる。
けどこれは神に許された事なのだ、だから私は引き金を引いた。
「ひいっ!? あ……あたっああ、あ、あ、あ、あ、あ、!…………………………」
弾丸は彼女の頬を少しかすめて後ろの黒板に当たった。彼女には当たらなかった、発砲者のミスか? と思うだろう。 いや違うあえて外したのだ。
怖くて震える彼女をに近づく私、そして私は彼女にこう言う。
「怖かったよね、泣かなくて偉いね」
じゃあさよなら、可愛らしい女の子。
そして私は笑顔で銃口を女の子に向ける。
「……どうして」
泣きそうになりながら私に話しかける。
私が絶望に引き込みたかったのは貴方だったからかな。
私が1番この世で憎んだ相手、貴方は今ここで絶望しろ。
「可愛い女の子は私、あなたじゃないわよ」
そう言って引き金を引く。
怖かった。なんでこんな目に合うようにしむけたんだろう。
せっかく自分の居心地のいい世界を作れるようになったのになぁ。
あぁその顔いい顔だ。自分の罪に溺れて罪悪感に駆られ絶望という名のスパイラルに陥ってる表情だ。最後にそれが見れてよかったよ。
ドサリ、と少女は倒れ込む。
目の前で人が死ぬなんて思っていなかった殺されかけた女はその場で絶叫した。
さっきまで自分を殺そうとしてた相手は自分自身を殺したのだ。
発砲者の考えはこうだ。
辛かったから自分を苦しめた相手の前で自分が苦しめられた過去をいい罪の意識を植え付けてからそいつの前で自殺してさらに罪の意識を重くしようというイカれた考えだ。
「あっあ、えっ? あたしがわるいの? へへっあはははははははは、そっか?!? うわあああああああああああああ!」
狂った。 ただただ狂った。
これが彼女の計画通りだとすれば彼女は今どこかでニヤリとして笑っているだろう。
狂った女は死んだ彼女の拳銃を奪い取り、その辺に打ち込み始めた。
一心不乱に打ち始める、誰に当たるか何に当たるかなんて関係ない、ただただ彼女は打ち続ける。
「ははっ、無くなっちやった」
「……そうか、なら防御できねぇな」
パァン!
「えっ?」
先程までうずくまってた男は狂った女を撃ち殺した。これでこの話はおしまい。
どう? 神様めちゃくちゃ面白かったでしょ?
……そうね少し呆気なかったかも。
でも、私が目をつけた一人の少女の話はおしまい。すごい女の子だったでしょう? ここで死ぬのが惜しいくらい。
彼女はこれからあの女の子とは疎遠となり楽しい人生を送るはずでした、ですが今の人生が辛かったのでしょう。 少し耐えれば幸せを掴んだものを……。 ですが彼女を責めてはいけません、彼女は彼女なりに自分を痛めつけた人間と戦ったのです。 その結果彼女はこの世にいられなくなってしまったがそれ以上の感情を得られたそれって嬉しいことですね。
神様? 貴方が与えた試練を乗り越えなくても人は強くなれるんです、でも与えすぎはよくありませんよそうでなければ彼女みたいな人が増えますから




