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MY song

負けても、良い。

作者: caem



 じいっと見つめる


 あれも捨てがたい


 いや あれも……


 悩ましげに立ち止まる


 順番待ちの客は実にうっとおしそうだった


 ふわふわと飛び交う深夜の蝶々


 煌々と照らされた明かりに導かれて


 だが わたしもそうであった


 くぅと鳴るお腹


 輝かしい月夜などには目もくれず


 店頭の


 甘い誘惑に唾を飲む


 まず この時間に残っているのが珍しい


 本来であれば 片付けられて


 店員の腹のうちに仕舞われているであろう


 僅かに残った数種類のお総菜


 ふんわりと良い臭いをかぐわせていた


 ふっくら もちもち


 餡をしたたかに閉じ込めた塊


 肉まんなどは論外


 だがなればこそ


 肉っけは避けて通れない


 この時季 独特の お出汁


 たっぷり漬かったのは おでん


 しらたきなどは特に踊らされる


 しかし


 真っ先に目を奪うヤツがいた


「温めますか?」


 店員の魔の手には決して負けない


 あと一本か


 たっぷりと塗られた鶏肉


 長い串に刺さったそれを敢えて無視


 わたしは衝動に負けた


 言い放ったひとこと


 スケールの甚だしいウインナー


「毎度ありがとうございました」


 機械的に告げられた挨拶などうやむやにして


 帰り道をひとり


 抑えきれない涎を拭く


 片手に酒 片手に肴


 辿り着いた室内で


 おもむろにかぶりついた


 溢れる肉汁


 旨味が胃袋に染み渡る


 もう片方の手で 酒をかっ喰らう


 ああ


 至福のひとときよ


 出番を待ちわびる 透明な酒


 空いたグラスに注がれたそれは


 忌々しい今日を忘れさせるのだ


 もう 止まることは出来ない


 明日に 乾杯


 ぐるぐると舞う酔いに


 誘われよう


 週は半ばにして


 今宵も 酒が美味いのである


 肝を休める日などは無い


 いざ


 忘却の彼方へと









 寝落ちほど


 怖いものは ない


 


お酒って……

たまらないなぁ。

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