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paradox (パラドックス)  作者: ナカヤ ダイト
voice編
17/55

ジュリビア帝国 1

お世話になります。


下手くそな文章ですが、引き続きよろしくお願いします。

(彼はまだ、あの力をコントロールできないようですね)

 シンは木の枝の上で目を細める。

「今、戻りますよ」

 シンが静かに呟く。

(わかった)

 低い男の声と共にシンは一瞬にして暗い空間に移動した。


「久しぶりですね」

 シンは暗い空間の中で話す。

「も〜 遅いよ」

 幼い声が不満を漏らす。

「レイ様は?」

「いつもの研究部屋だよ」

 シンの質問に幼い声が答える。

「ありがとうございます」

 シンは後方へ振り向き歩き出した。


 シンは地下の汚れた扉の前で立ち止まる。

「失礼します」

 シンが薄暗い地下室に入るとガラス張りの棚が部屋一面にあり、その中には試験管やビーカーなどのガラス容器がずらりと並んでいた。

 机の上は書類や書物が散乱しており部屋の奥に1人の男が立っていた。


「やあ、お帰りシン」

 消え入りそうな声がシンを迎える。

「レイ様に報告した事があります」

 シンは背筋を伸ばす。

「うん、知ってるよ。面白い子がいるらしいね」

 レイはシンに背を向けたまま試験管を覗き込んでいた。

「既に、ご存知でしたか」

「君に任せるよ。その子を見定めているんでしょ?」

 見透かしたようにレイは話す。

「はい、かしこまりました。失礼します」

「またね」

 シンは地下室を出た。


「おい」

 シンの後方から若い男の声がした。

「どうしましたか?」

 シンは立ち止まる。

「お前が面白いと言っている人間は強いか?」

「おや、珍しいですね。あなたが興味を持つなんて」

 シンは意外そうな顔をした。

「質問に答えろ」

 若い男の声は冷たく話す。

「おやおや……彼は成長途中です。もしかすると我々の脅威になるやもしれません」

 シンは意味深に笑う。

「そうか……」

「気になりますか?」

 シンは若い男の方へ振り向く。

「俺が全力になれるなら」

 若い男は顔を上げる。

「でしたら、自分の目で確かめるべきですよ。エル」

「わかった」

 エルと呼ばれた若い男は顔を上げる。


 ベリーショートの燃えるよな赤い髪に異常なほど白い肌、ダメージジーンズにグレーのパーカーは袖がなく正面のジップは半分が開いており、割れた腹筋が見えている。


「では行きましょう。ジュリビア帝国へ」

 シンとエルは暗い空間を後にする。



「はぁはぁはぁ」

 狂暴鬼バーサクオーガを倒したマオは地面に座り込む。

「マオ、大丈夫?」

 心配したユウキはマオの近くまで走る。

「なんとかね、梨加さんは大丈夫?」

「……うん、気を失っているだけ」

 ユウキは微笑む。

「よかった」

 マオは戦闘で荒れ果てた地面に寝転ぶ。



 マオとユウキの活躍で被害は公園内のみに留まり、怪我人も神谷梨加ただ1人だった。

 怪我を負った梨加は近くの総合病院へ運ばれ、マオたちを含む司書は本部に戻った。



「うう」

 梨加は病院のベットの上で目を覚ます。

「梨加ちゃん! 大丈夫ですか?」

「シスター」

 梨加の目の前には涙目の茉莉の顔があった。

「よかった」

 茉莉の目からボロボロと涙が溢れる。

「シスター?」

「よかった! 本当によかった」

 茉莉は力いっぱい梨加を抱きしめた。

「ごめんなさい……」

 梨加の頰にも一筋の涙が流れる。


 夢図書館は梨加の回復を待って事情聴取をする事を決めた。



 狂暴鬼バーサクオーガの討伐から1週間後、鈴木班は会議室でミーティングをしていた。


 3人がけの長机を向かい合うように2列で並べ1つの机には学子、太郎、司、もう1つの机にはマオ、晋二、ユウキが座り、岸田は2つの机の前に立った。

「まずはランクAが出現したにもかかわらず、ここまで小さい被害で食い止める事ができた。3人ともよくやった」

 岸田が軽く頭を下げる。

「それにしても、出現したランクAが狂暴鬼バーサクオーガだったのが不幸中の幸いってやつですね」

 太郎は椅子にもたれ掛かり呟いた。

「たしかにな」

 司はメガネを右手で持ち上げる。

「なぜですか?」

 マオが質問する。


「それはね、狂暴鬼バーサクオーガは知性を持っていないからだよ」

 マオの正面に座っている学子が答える。

「そういえば、動きや行動は読みやすかったですね」

 マオが少し考えてから話す。

「たしかに、そういう理由もあるけど1番は使用率の差かな、知性を持っていない狂暴鬼バーサクオーガは武器の本質を理解していないの、だから使用率は高くて80%ぐらいだよ」

 学子は右手の人差し指を立てて答える。

「そうだ、知性を持つランクAの使用率は100%、攻撃の威力は狂暴鬼バーサクオーガとは比べ物にならない」

 腕を組んだ岸田が口を開く。

「あれよりも強い攻撃って」

 マオの表情が暗くなる。


「昨日行った神谷梨加の事情聴取で得た情報をつなげる」

 岸田は腕を組んだまま話す。

「まず、神谷梨加はフェイクカードで創造をした。そのフェイクカードを渡した者の名前はシン、長身の金髪でメガネを掛けている。職業は喫茶店を経営しているとの事だ」

 岸田は後方のホワイトボードに情報を書く。

「それなら、その喫茶店を捜索すれば解決できますね!」

 司はメモを取りながら話す。

「その事だがな。神谷梨加の言っていた場所を調べたが、そんな喫茶店は無かった」

「え? 神谷梨加は嘘をついたって事ですか?」

 岸田の話しに司が聞き返す。

「いや、近隣住民に聞き取り調査をした結果、数人だったが、その喫茶店を見た事のあると言う人間がいた」

 岸田はホワイトボードに喫茶店のあった場所の地図を書く。

「それって、どういう事ですか?」

 マオが岸田に質問する。

「喫茶店の建築と取り壊した履歴が無かった。しかしvoiceとシンは協力関係にある可能性が高いと考え、逮捕したvoiceメンバーに聞き取り調査を行った。結果は名前を知っている者が2人、リーダーのカンザキ以外は話した事が無いらしい」

 岸田は眉間にシワを寄せる。

「手掛かり無しですか」

 司は椅子に座ったまま伸びをする。

「いや、手掛かりが全く無かった訳では無い」

 岸田がニヤリと笑う。


「voiceの裏にいる組織が分かった」


 !?!


 岸田の一言で全員に緊張が走る。

「あれだけの武器や夢獣ピエロを取引しているにもかかわらず武器や夢獣ピエロを輸送した痕跡は出てこなかった。だが創造元は判明した」

 岸田は学子の方を見る。

「ここからは私が。押収品の圧縮型を調べた結果ジュリビア帝国国籍の人間の物が98%。その結果からオペレーターの戸田さんをジュリビア帝国に派遣し調査を行いました」

 学子は岸田の隣まで移動して説明する。

「その結果は?」

 司が前のめりになる。

「調査の結果、voiceはジュリビア帝国が違法に創造した武器や夢獣ピエロの密輸密売を行う裏組織である事が判明しました」

 学子は冷静に答えた。

「そんな、ジュリビア帝国って世界一の平和主義国家で国民の満足度も国政も世界トップクラスのはずなのに!?」

 晋二は机を叩いて立ち上がった。

「たしかに表面上はな、これを見ろ」

 岸田は1枚の写真をマオたちに見せた。


 写真には手と足に(かせ)を付けられ強制労働をさせらる痩せ細った人々が写っていた。

「これは……」

 晋二は写真を見て衝撃を受ける。

「ひどいな」

 太郎は目を細める。

「………」

 司は何も言わずにメガネを持ち上げる。

「これは、奴隷?」

 マオは思わず言葉にする。

「これがジュリビア帝国の裏の顔だ、更に悪い知らせがある」

 岸田はもう1枚の写真を見せる。

「この人は?」

 太郎は岸田に質問する。

「この男の名は町田まちだ幸光ゆきみつ、夢図書館の研究者だった人間だ14年前の事件で行方不明になっていたが、voiceの押収品から町田幸光の圧縮型の夢獣ピエロが出てきた」

 岸田は深刻な顔で話す。


(その事件って麗花の……)

 ユウキは両手を強く握り締める。


町田幸光こいつ夢粉ゆめの技術力で劣るジュリビア帝国に協力しフェイクカードの開発に関わっている可能性が高い、更にジュリビア帝国は夢獣ピエロを使った軍事強化をしているとの情報もある、どういう方法か分からないが夢獣ピエロを使役しているらしい、これには必ずシンという男が関わっている。これは今すぐに手を打たなければならない」

 岸田は睨むようにして言った。

「そんな!? 夢獣ピエロを使役だなんて」

 晋二の表情が無くなる。

「作戦はどうしますか?」

 太郎が口を開く。

「ジュリビア帝国は妨害電波を出し続けていて、インカムを使って指示を出す事ができない。そこで鈴木班にはジュリビア帝国に潜入し妨害電波を出しているアンテナを破壊して近隣住民を避難させてもらう。作戦決行は2日後だ」

 岸田は右の拳を握り締める。




 ―――ジュリビア帝国、200年前のユーラシア戦争後に旧ロシアと旧モンゴル領土に建国された唯一の帝国にして世界平和条約を一早く受け入れ全ての武力を放棄した超平和主義国家―――



「まだ、voice隊とは連絡が取れないのか?」

 黒地に金の装飾が入った軍服、金髪の頭は禿げ上がり額に脂汗をかいた中年の男が、赤と金で埋め尽くされた装飾華美な皇室の革製の椅子で踏ん反り返っていた。

「申し訳ございません。連絡をし続けていますが音信不通で」

 緑色の軍服姿の中年男性が頭を深々と下げていた。



 ―――マルス・ジュリビア4世 58歳 身長160cm 体重83kg 世界一の領土を誇るジュリビア帝国の現皇帝―――



「皇帝閣下、失礼いたします」

 軍服を着た若い女性が皇室に入る。

「なんだ? 私は今、機嫌が悪い」

 マルスは入ってきた女性を睨みつける。

「お客様がお見えになっていますが」

 女性は一礼して話す。

「帰せ、今はそれどころではない」

 マルスの額に血管が浮かび上がる。

「シンと言えば分かると、言っていましたが」

「なんだと!? すぐに通せ」

 マルスは軍服姿の男性と女性を皇室から出した。


「皇帝閣下、失礼いたします」

 皇室に入ったシンはマルスの前に(ひざまず)いた。

「シン殿! よくぞ来てくれた。さあ表を上げよ」

 マルスはすっかりご機嫌になった様子。

「はい」

 シンは立ち上がる。

「シン殿とDr.ジークのおかげで我がジュリビア帝国は夢図書館をも超える武力と技術力を持つ事ができた。感謝する」

「ありがたき幸せです」

 シンは頭を下げる。

「がはははは。後は夢図書館へ奇襲をかけるのみ、その為にvoice隊を使って世界各国の反社会的勢力への支援をしてきた。平和ボケした世界は夢図書館への奇襲で間違いなく混乱におちいる。奴らは混乱を更に過激なものにするだろう。がはははは」

 マルスは椅子に踏ん反り返って高笑いをした。

「皇帝閣下、voiceについて私が掴んだ情報がございます」

 シンは深刻そうな顔をした。

「よい、話せ」

 マルスは椅子に座ったまま短い足を組んだ。


「なんだと!? もう一度、言ってみろ!!」

 マルスは顔を真っ赤にして激怒した。

「voiceはリーダーのカンザキを含め全員が夢図書館に確保されました。今頃、voiceとジュリビア帝国の関係は夢図書館に知られていると思われます」

「なんだと……」

 マルスはガックリと肩を落とし項垂れる。

「もう一つ情報があります」

「なんだ?」

 マルスは不機嫌そうに答える。

「夢図書館は既に動いています。まずは偵察なのでしょうか? 5人ほどの司書がこちらへ向かっている模様です」

「なに?」

 マルスはニヤける。

「その5人を捕虜にするのはどうでしょうか?」

 シンは不敵に笑う。

「ほぉ〜 司書を捕虜に、それは面白い。そうなれば、こちらが有利に事を運べる。それに我がジュリビア帝国には最高戦力となる4匹の武装したランクA、四夢将よんむしょうがいる。例え夢図書館と全面戦争になったところで負けるはずもない。グフフ」

 マルスは不気味に笑う。

「現在、敵はステルス機にて移動中、間も無くジュリビア領空へ入ります」

 シンは冷静に情報を伝える。

「シン殿の情報網と頭脳は未来予知にも近い事を平然とやってのける、その秘密を是非とも知りたいものだ」

 マルスはシンの顔を覗き込む。

「あくまで私個人の勝手な見解ですよ。ふふふ」

 シンは笑って誤魔化す。

「まあいい」

 マルスはそう言って机に備え付けられた電話を手に取る。



 皇室を出たシンは青い執事服のポケットに両手を入れ城内の人気の無い廊下を歩いていた。

(もぉ〜 敵の進行ルートと到着時間は僕が計算したのに、シンの手柄になってるじゃん!)

 幼い声は怒っていた。

「すみません。仕方が無かったのです」

(まぁいいけどさ。それよりもシンが面白いって言ってた人間、殺されちうかもね)

 幼い声は意味深に笑っていた。

「彼なら大丈夫ですよ」

(ふ〜ん、じゃまた終わった頃に連絡するよ)

 幼い声は聞こえなくなった。


「エル、あなたはどうしますか?」

 シンは前方より現れたエルに話し掛ける。

「まずは瑠垣マオが本当にお前の言うほどものか見る。自分の目で確かめるんだろ?」

 エルはパーカーのフードを被った。

「そうですね」

 シンは冷たく笑う。

「……」

 エルは無表情のまま通り過ぎて行った。



「ぐははははははは!!! いいです! いいですよ! 最高ですね!!!!! エクセレントッッッ!」

 ジュリビア帝国城内の地下、巨大な檻が立ち並ぶ薄暗く巨大な空間、その中で5つの画面の付いたパソコンのキーボードを叩きながら正気と思えないほどに興奮した痩せこけ寝癖だらけのグレーのスウェット姿の男がいた。

 

 ♬〜♬〜


「なんですかッッッ?」

 男はコールした電話を睨みつける。

「は〜い♪ こちらDr.ジーク」

 Dr.ジークはふざけて電話に出る。

「私だ」

「お〜♪ これは皇帝閣下どのぉ〜 何か御用ですか?」

「夢図書館がこちらに向かっている。命令だ夢獣ピエロを使い迎撃をしろ」

 マルスは強い口調で話す。

「おおおおおぅ!? それは、それは。楽しみですねぇ〜」

 Dr.ジークは更に興奮した。

「生きて確保だ。殺すなよ」

 マルスはそう言って電話を切る。



 ―――Dr.ジーク 41歳 身長171cm 体重49kg 14年前に突然現れジュリビア帝国の夢粉ゆめの技術発展に貢献した科学者。(マッドサイエンティスト)―――



「ぐふ、うふふふふ。あははははは!! まさに最高!! これ以上に無いデータが取れる!!」

 パソコンの前から移動したDr.ジークは一つの巨大な檻の前で立ち止まる。

夢獣ピエロ、なんて最高の響きッッッ!! 哀れにも人間のエゴによって生み出されし悲しき道化ッッッ! さあ、お行きなさい、殺しなさい!」

 Dr.ジークは檻の中で寝ている巨大な生き物に話し掛ける。


 グオァアーーー!


 Dr.ジークによって檻が開かれると、巨大な蛇のような影が天井のゲートから勢いよく空へと飛び立つ。



「……」

「緊張してるのか?」

 晋二はステルス機の中で無言のまま隣に座るマオに話し掛ける。

「少しね」

 マオは笑みを浮かべた。

「実は俺も」

 晋二の拳が少し震えていた。

「多分だけど、ジュリビア帝国は学校で起こったあの事件に関わっている。大量の夢獣ピエロに、シンって男」

 マオは奥歯を噛み締めた。

「……マオ」

 マオの後ろに座るユウキは心配そうにマオを見つめる。


「ごわぁ?! 急になんだ?」

 突然、左方向へ急旋回をしたステルス機に太郎は驚く。

「前方から、超高速で何かが接近したので回避しました」

 男性パイロットが話す。

「なんで!?」

 パイロットが焦る。

「どうした?」

 司がパイロットの真後ろに移動する。

「回避した物体が追尾してきます」

 パイロットは後方から追尾する物体を振り切ろうと、機体を右へ左へ旋回させる。

「ダメです。追い付かれる!!」

 パイロットが叫んだ刹那、ステルス機は何かに衝突しかなりの衝撃を受け機体には直径3mほどの穴が空いていた。

「くそっ、不時着します。しっかり掴まってください」

 パイロットはバランスが不安定になった機体をなんとか、何も無い草原へ不時着させるが機体は地面に叩きつけられ大破する。


「痛っ。みんな大丈夫か」

 頰に擦り傷を作った太郎は機体の部品を押しのけ立ち上がる。

「なんとかな」

 司は右腕を抑えながら立ち上がる。

「はい、無事です」

 晋二は無傷だった。

「ユウキ! ユウキ!」

 マオは頭から血を流して気を失っているユウキの肩を抱き上げていた。

「ユウキ!?」

 晋二はマオとユウキの近くへ移動する。

「動かすな!!」

 巨大な斧を創造した太郎が叫ぶ。

「今やるべき事は一刻も早く、この状況をどうにかして相川の手当てをする事だ!」

 司がトンファーを創造して構える。

「これは?!」

 マオは目を丸くして立ち尽くす。

「ランクB」

 晋二は上空を睨みつけた。


 グオァアーーー!


 マオたちの前には全長が20mの青い鱗の龍が空中に浮かんでいた。



「岸田司書長!!!」

 メインモニター室で学子が叫ぶ。

「!?」

 いつもと違う学子の様子に岸田は走って学子の真後ろに移動する。

「太郎くんのACMにランクBの反応が」

「なに!?」

 学子の操作するパソコンを見て動揺した岸田が一歩後ろへ下がる。

「妨害電波の影響で周辺地図の情報や音声は全く分かりませんが暗号化した信号を解析した結果、太郎くんたちは間違いなくランクBと遭遇しました」

「くっそ!! 俺の考えが甘かった。敵は先手を打っていたのか!!」

 岸田が机を蹴る。

「まさか、ランクBまで」

 学子は泣き出しそうな顔になっていた。


  ♬〜♬〜


 学子の操作しているパソコンにメールが入る。

「えっ? 見た事が無いメールアドレス、このパソコンは構成員の創造免許証と特定のメールアドレス以外からはメール受信ができないはずなのに」

 学子はマウスでを操作してメールを開く。


「岸田司書長……これを」

 メールを見た学子の顔は青ざめ、まるでこの世の終わりを間近に迎えたような顔をしていた。

「どう……し…た……」

 メールを見た岸田の表情は凍りつく。

「松下!!」

「はっはい!」

 岸田の大声に学子は驚いた様子で返事をする。

「大至急、全司書長にジュリビア帝国へ向かえる者がいないか連絡をしろ! 俺は今から準備をして12時間だけ待つ。最悪、俺1人で乗り込む」

 岸田はメインモニター室から出る。

「了解です」

(みんな、無事でいて)

 学子は急いでパソコンの操作を始める。



 メールの内容は。


 匿名


 ジュリビア帝国には4体の武装したランクAがいる。

 信じるか信じないかは問わない。

 仲間の命をどう思うかだ。

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