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永遠に

こっちの投稿は久しぶりです。

相変わらずのバッドエンドです。

 彼女は不安でした。

 彼女は昨日、思いを寄せる人に自分の思いを伝えました。

 まだ返事を貰っていません。

 彼はこう行ったのです。


「ありがとう、でも返事は待ってくれないかな?今まで君をそう言うふうに見ていなかったから、ちょっと困惑してるんだ。明日、明日同じ時間にここで返事を必ずするから、それまで待ってくれないかな?」


 彼の提案を彼女は飲みました。

 あと十数時間後には彼の返事が聞けます。

 だから不安でした。


『断られたら・・・それより、あそこに彼が来なかったら・・・他に好きな人が居たら・・・私は彼に側に居て欲しいのに・・・』


 彼女は不安を払拭しようともしました。


『断るなら、あの場で断るんじゃないかな?・・・自分からした約束を破る人じゃない・・・好きな人が居たらあの場で言うよね?・・・きっと大丈夫よね?・・・でも・・・』


 払拭しようとしても、また不安が襲って来るのでした。

 彼女の思考は堂々巡りをしていました。


 明け方近くです。

 彼女の台詞が変わりました。


『フフフ・・・そっか、そうよ!そうすれば良いんだ!!』


 名案が浮かんだようです。

 一晩中不安に苛まれて半ば青ざめていた顔をしていた彼女とは別人です。

 精気を取り戻し頬に朱が差していて可愛らしく魅力的な印象を受けます。


 授業も終わり約束の時間まで後わずかとなりました。

 彼女は落ち着き払いニコやかです。

 彼女が明け方に思い付いた名案はどんなものなのでしょうか?

 彼が受けるしか無い台詞でも思い付いたのでしょうか?

 古典的に泣き落としでしょうか?

 断られる訳が無いと確信したのでしょうか?


 落ち着いて待って居る姿は自信に満ちている様に見えます。


 程無くして彼がやって来ました。


「ごめん、待たせちゃった?」


「ううん、全然待ってないよ」


「そっか・・・でね、昨日の返事なんだけどね・・・」


 言い出し難いのか。

 言うのが恥ずかしいのか。

 彼は中々口に出しません。


「大丈夫だよ?どんな返事が来ても私は大丈夫だよ?」


「・・・うん、それじゃ」


 決意をしました。

 彼の答はどちらなのでしょうか。


「1日待たせちゃってゴメン。俺も君が好きだよ、だからこっちからお願いしたい。俺と付き合って」


 その言葉を聞き彼女の目は見開ききって驚いています。

 そして徐々に驚きが歓喜へと変わって行きました。


「・・・ホントに?・・・ホントのホントに!?」


「うん、ホントだよ」


 彼女は彼に抱きつきました。

 彼女にとって最大限の喜びの表現なのでしょう。


 いきなり抱き付かれドギマギしていた彼も、そっと腕を彼女の背に回し抱きしめました。


 暫くの間、彼の温もりを確かめていた彼女は切り出しました。


「あのね・・・私は我が儘なの」


「えっ?」


「私は貴男を永遠に私のものにしたいの」


「そうなの?」


「うん・・・だからね・・・死んで」


 そう言うと手に持っていた包丁を逆手に持ち替え彼の背中に突き立てました。

 2度3度と・・・


 彼は状況を飲み込めてはいませんでしたが、1度目の刺突の激しい痛みで彼女を突き放そうとしましたが出来ませんでした。

 小柄で華奢な女性とは思えない力で抱き付かれていたのです。


「・・・どう・・・し・・・」


「貴男が死んだら私も直ぐに逝くよ、だからちょっとだけ待っててね」


 彼女は今朝と同じ表情をしています。

 とても凶行に走った人の表情とは思えない程です。

 しかし、なぜ死ぬと永遠に彼女のものになるのでしょうか?

 何がどう捻じ曲がれば辿り着く結論なのか理解できません。

 彼女の不安が限度を超えてしまって狂気に替わってしまったのは分かります。

 狂気に満ちると道理や常識に捕らわれない外道の思考が跋扈するのでしょうか。

 彼女の行動・思考を見る限りそうとしか思えません。


 肺をやられ喉に血が溢れ喘鳴音を出していた彼からその音がしなくなりました。

 彼女はそれを確認すると、彼の手に包丁を握らせて自らの心臓がある位置に刃先を固定して彼に抱き着きました。


 彼女の顔に苦痛は有りません。

 彼を永遠のものに出来たと言う安堵と喜びに満ちた様な顔をしています。

 彼女は自らのした事を凶行と理解しないで逝くのです。

 これはある意味幸せなのでしょう。




「ん~・・・貴方の話は私はすきですけどね?バッドエンドばかりなのは何でなのかしら?」


 虚無の主の言う通りです。

 確かにバッドエンドばかりです。

 ハッピーエンドは過程は多種多様ありますが。

 終わりはどれも似た物になります。

 バッドエンドは過程は勿論ですが。

 終わりも多種多様あるのです。

 そして思い返せば当人が選択肢を誤った箇所を見付ける事も出来ます。


「数多の事象を見て来たあなたが言うのだからそうなのかも知れないけど、たまにはハッピーエンドの話も聞いてみたいわね」


 ・・・・・・・・

 分かりました。

 次の話はハッピーエンドを用意しましょう。

 

本文にある様に次回をハッピーエンドにするかは未定です。

バッドエンドの方が思いつきやすいので・・・

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