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女神の声  作者: 渡里あずま


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第十二章【後】

 ルーが視線を上げると、倉庫の三階から数人の外国人の男達がライフルの銃口を向けていた。

 ……ニヤニヤしていた彼らが、けれど急に真顔になる。


「邪魔すんなよ、お前ら」

「…………」


 同様にライフルを構え、男達に撃ち返したのはマークとファーザーだった。その隙をつき、知愛に追いついたルーが倉庫の中に入るのを見て、男達が倉庫の中へと入る。おそらく再度、二人を引き離そうとするのだろう。


「んじゃ、俺は待機な」

「ええ、車を頼みます」

「Aye,Aye,Sir!」


 目的は知愛だが万が一、車を盗られたりパンクさせられたりしたら、豪を取り戻しても脱出の足を失うことになる。

 それ故、マークはライフルを構えると待機を申し出て――ファーザーは頷き、黒い肩掛け鞄を担いで知愛達を追い、倉庫へと向かったのである。



 ファーザー達の読み通り、倉庫に入った知愛とルーは、先程同様に銃弾で出迎えられた。それらを避ける為に、ひとまず柱へと身を隠す。

 知愛だけなら、もしかしたら撃たれないかもしれないが、あいにくルーは彼女から離れるつもりはない。そして知愛も彼の好きにさせると決めたので、残していく選択肢はない。

 そんな訳で、とルーが取り出したのは手榴弾――正確にはスタングレネード、音や光で相手を気絶させるものだった。

 銃弾に対しては甘い対応かもしれないが、相手もこちらを(知愛以外は不明だが)殺しにまではかかっていないので十分だろう。


「行くよ、チア」

「ええ」


 頷く知愛の見ている前で、ルーはスタングレネードのピンを抜いた。

 そして、相手へと投げつけて――刹那、起こった爆音と光を合図に、二人は走り出した。



「……始まりましたか」


 中から爆発音が聞こえたのに、倉庫の外にいたファーザーはボソリと呟いた。

 知愛達を追いかけて来たが、彼はすぐには中に入らなかった。代わりに、担いでいた鞄から取り出したものを倉庫の壁に貼りつけていった。

 粘土状のそれは、C4と呼ばれるプラスチック爆弾である。心中するつもりはないが、万が一(Kが豪を殺そうとするなど)の時に交渉材料にする為だ。


「おい、何をしてる?」


 爆発を受けて逃げてきたのか、あるいはKの指示で偵察に来たのか――現れた男達に声をかけられて、ファーザーは立ち上がった。

 そして一人だからと油断したのか、無防備に近づいて来た男を振り向き様、回し蹴りをすると慌てた相手の隙を突き、鳩尾や顎へと蹴りを入れた。


「弱いですね……やはり、チアが目的なだけでしょうか?」


 それから、あっと言う間に地面に転がった男達を眺めながら、ファーザーはボソリと呟いた。



「っ!?」


 不意に耳に届いた爆音に、椅子に縛られていた豪はハッと顔を上げた。


「……あぁ、来たみたいだな」

「来たって……知愛がか!?」


 近くの椅子に座っていた男が、ボソリと呟く。

 豪を捕らえた連中のリーダーらしい男は、動画を撮影しながら彼女の名前を口にし、それを自分の携帯を使って送信した。

 名指しされたとは言え、父親達や瑛達が止めると思っていたが、まさかこんなところまで来るなんて。


(学校で、女どもを相手にするのとは訳が違うだろ!?)


 確かに豪は、知愛が機敏な身のこなしで女生徒の攻撃をかわしたり、落ちてきた照明を蹴り飛ばしているのを見ている。

 冷静に考えれば少女と爆音は普通、結びつかない。

 しかし、どうやってかは理解していないながらも、豪は知愛がやって来たことを確信して焦った。

 ……そんな豪を見て、男が口の端を上げる。

 笑顔である筈なのに、それは何だか嫌な感じに豪の目には映った。


「お前が、知愛の心配?」

「えっ……?」


 そして、それだけ言うと男は――圭威は、また黙って座っていた椅子に腰掛けた。

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