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おまけ②【出会い】




 「ワシが面倒を見る、じゃと?」

 「仕方なかろう。御主に一番懐いておるのじゃから」

 「天狗、御主にも懐いておろう。ワシは嫌じゃ」

 「ならば、オロチにでも頼むか?」

 先代が亡くなり、孫の座敷わらしが残されてしまった。

 以前からとても懐かれていたのが、ぬらりひょんと天狗の二人だった。

 だが、二人とも自由気ままが好きであって、危険とも隣合わせのため、座敷わらしをどうしようかと考えていた。

 言っておくと、座敷わらしはオロチにそれほど懐いていない。

 なぜなら、腕に乗せてくれないから。

 ぬらりひょんも天狗も、座敷わらしが泣けば腕に乗せてくれる。

 それは座敷わらしにとって心地良いもので、落ち着くものだった。

 「では、こうしよう」

 「?」

 天狗が出した提案は、とりあえず一日交互に面倒見るというもの。

 それで座敷わらしに決めさせる、ということだ。

 オロチはそれに挙手したのだが、却下されたようだ。

 まずは天狗が面倒を見ることにした。

 「天狗―、ワシはお腹が空いた」

 「ん」

 「・・・これは林檎じゃ。ワシはもっと美味しいものが食べたいのじゃ!」

 「無理じゃ」

 あっけなく終わった。

 続いてぬらりひょんの元に来た。

 「それでのー、ワシはずっと蹴鞠しててのー、とっても上手なんじゃ」

 「・・・・・・」

 「じい様と勝負したときにものう、ワシが勝ったんじゃ!圧勝じゃった!」

 「・・・・・・」

 「つまらん!」

 あっけなく終わった。



 「で、なんで俺のところに連れてくるわけ?」

 「ワシらにはどうも難儀じゃった」

 ニコニコと笑っている小さな少女を連れて現れた、二人の図体のでかい男たち。

 「俺だって面倒なんか見れないよ。ここがどこだか分かってる?普通の鬼ならぼっこぼこにしてるとこだからね?」

 「ワシは鬼か?」

 手、というよりは指を掴んでいる天狗の顔を見上げて聞く座敷わらし。

 「ワシらは鬼じゃ。故にここは何よりも安全じゃろう」

 「あー、早く酒飲みたいのう」

 「ぬらりひょん、君、人にものを頼む態度じゃないよね」

 二人と仲良さそうに話している男、鳳如の方を見て、座敷わらしは笑う。

 それに応えてか、それともつられてか、鳳如も笑う。

 「このおじちゃんは主らの友か?」

 「おじ・・・」

 「くっ・・・」

 座敷わらしの口から出た単語に、鳳如は身体中から只ならぬオーラを発する。

 座敷わらしはそれに気付かずニコニコ。

 そして単語を聞いて笑いを堪えている二人の男。

 なんとか笑うのを耐えたぬらりひょんが、両膝を折って座敷わらしと目線を合わせる。

 「このおじちゃんは味方じゃ。安心せい」

 「なら良かろう。ワシはここでも良いぞ」

 「おお。気に入ったみたいじゃ」

 天狗の指を離すと、オロチには懐かないのに鳳如には懐き始めた。

 その時、座敷わらしはふと誰かの気配を感じる。

 「・・・あそこの部屋にいるのは誰じゃ?」

 「ん?ああ、清蘭様。俺達が守ってる人」

 「会いたい!会わせてくれ!」

 「まあ、いいけど」

 そう言って、座敷わらしに連れて行かれるように鳳如は部屋に案内する。

 その様子を見て、天狗は後をついていく。

 ぬらりひょんが酒を飲みに行こうとしたので、襟袖を掴んで後を追う。

 「清蘭様、よろしいでしょうか」

 「なんでしょう」

 「御面会したいと・・・」

 「女子か!」

 清蘭の部屋に入る前の御決まりをしていた鳳如だったが、隣にいたはずの座敷わらしがいつの間にか清蘭の部屋に入っていた。

 そして、清蘭の目の前に立っていた。

 「すみません」

 「良いのです。こちらの可愛らしい方は?」

 にこりと微笑んで清蘭が尋ねれば、座敷わらしは自らの名をはきはきと答えた。

 「珍しいのう」

 そう告げたのは、ぬらりひょんを手にぶらさげている天狗だった。

 「ワシら以外にあんなにも懐くとは」

 「俺にも懐いただろ」

 「あれは社交辞令じゃ」

 「ああそう」

 きっぱりと言われてしまい、鳳如は心の中で舌打ちをする。

 「ワシもこ奴を守るぞ!」

 「お、決定じゃのう」

 座敷わらしのその言葉を待っていたかのように、ぬらりひょんは天狗から逃れてスッと立ち上がった。

 「私も構いませんよ」

 「ほれみい。懐の深い人は違うのう」

 「てめぇらにそっくり返すよ、その言葉」

 すでに清蘭に懐いてしまった座敷わらしに、ぬらりひょんが近づく。

 そして頭を撫で、去って行った。

 「ワシも帰るとしよう」

 ぬらりひょんと同じように座敷わらしの頭を撫でる。

 「あ奴は言葉が足りん男じゃ。何かあればすぐ来るからのう」

 「わかっておる。ワシのせいで、主らにまで迷惑はかけられん」

 「例え主が先代の孫でなくとも、ワシらは主を守ろう」

 「頼りにしておるぞ」

 二人が去って行ったあと、座敷わらしが寂しそうな顔をしていることは、きっと清蘭しか知らない。


 それから、座敷わらしは清蘭のもとで生活することになった。

 「汚い手で触るでない」

 「俺のどこが汚いんでしょうか?」

 「心じゃ。真っ黒に染まっていよう」

 「・・・減らず口を」

 「これ鳳如、そう言うな」

 「そうじゃそうじゃ」

 「・・・・・・」

 「ほれ、早く出て行くのじゃ」

 「鳳如とて懸命に仕事してくださっているのです。そんなことを言ってはいけません」

 「もちろんじゃ!わかっておるぞ!」

 「・・・・・・(誰に似たんだか)」


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