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夢九夜

作者: 綾戸いずな

 最初はこんな夢だった。

 真っ暗でとても狭い世界。背中を丸めて潜んでいた僕は、ここから出ようと必死に暴れていた。


 次はこんな夢だった。

 巨人がうろつく世界。僕より大きな人達が、額に汗を浮かべ働いていた。無邪気な僕は、巨人を困らせてばかりいた。


 次はこんな夢だった。

 相変わらず巨人はいた。けれど僕と同じ大きさの人達もいた。同じ大きさの人は楽しいことが大好きだ。いつも一緒に、お外を走り川を泳いで遊んでいた。このころ巨人は、見た目ばかりじゃなくて、心も大きく見えていた。


 次はこんな夢だった。

 巨人がいなくなった。みんな僕と変わらない。僕らはみんな反抗期。イライラムカムカ他人に当たってばかり。それでも友達となら一緒で楽しい。


 次はこんな夢だった。

 大変大変、勉強しなくちゃ。将来ってなに? 夢ってなに? なりたいものなんてわからない。

 

 次はこんな夢だった。

 忙し忙し。いっぱい働き失敗して、頭を下げる毎日。楽しいことなんてなにもない。昔の夢は、楽しいことばかりだったのに。巨人は僕のことだったんだな。巨人って案外小さいな。


 次はこんな夢だった。

 君は誰? 僕の分身? それとも彼女の分身かな。僕と彼女と君と、一緒にいたいから働くんだ。幸せだな。


 次はこんな夢だった。

 やった、仕事が終わった。これで解放だ。やっといっぱい遊べる。あれ? 鬼ごっこがつまらない、かくれんぼが楽しくない。あー疲れた、なにもしたくない。


 最期の夢はこんなだった。

 僕がベットで寝ていると、彼女に君に、君の彼女に分身に、いっぱいいっぱいやってきた。みんな涙を流してくれてる。嬉しいな。やっと楽になれるな。


 目が覚めた。

 そこはきれいな世界だった。宙を舞う蝶、甘いにおいの花々。まるで天国みたいだ。ここには笑顔がいっぱいだ。

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