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快楽と幸福への魔導論  作者: アルケニア
8/8

理解と感情の芸術

成功をするために最も必要なことは才能ではないんです。知られている事実については知っている事を理解していることに変えれる事、そして、まだ未知の問題については経験的な感覚も駆使する事_せんせい


ガウスはダビデと共に議論の最終章を始めようとゆっくりとダビデの表情を読み取った、強く、強く、自分を信じている、そして知ろうとする意志を感じさせるその表情をだ。

「『成功をするために必要なこと』というのは考えることが多い問題だ。だが、それについて確定的な事実は一つしかない」


「はい、努力をしている事ですね」


「そう、努力もせずに何かが変わることはない。しかし、前も述べたように人生に努力は不要なんだ、本来はな。努力は幸せになるために必要な分をすればいい。それ以上は必要ない。それを見誤ればそれはそれで幸せにはなれない」

「わかりました。ではどうすれば成功に近づくのですか」

「成功するというのは創造をする作業だ。そして、創造には二つある」

「新しい概念を作り出す事と存在する概念の組み合わせる事ですね」

「そうだ。そして、前者の方が遥かに難しい。君はどっちを創造したい」

「前者ですね」

「ふ、まあ、当然か。だがな、これらは本質的に違っているように似通った部分が多い。当たり前だが神が人に何かを教えてくれる事などない。ではなぜ彼らは閃くのか。・・簡単だよ。彼らは知識を組み合わせているに過ぎない」

「当たり前のことのように思いますが」

「そうだ。では彼らはなぜ、閃くものと閃かないものが居るのか。分かるか」

「知識量の差ですか」

「まだ足らないな。知識の質について」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。他分野の知識ですか」

「おしいな。考え方は近いがな。必要なのは知識ではなく概念だ」

「概念ですか」

「知識というのは多くが類似点を持っている。そう言うものを多く持っていても閃きには繋がらない。閃きを生み出しているのは概念を組み合わせる事だからだ」

「例えば、絵に関する閃きではスポーツの人が速く走るための動きを絵にすることとかですか」

「そう言う事だ。しかし、それだけでは足らない。何かを生み出すのに必要なのは理解だけではないんだ」

「理解だけではない?・・・・・・どういう事ですか」

「何かを生み出すのはいつだって感性なんだよ」

「感性ですか?理解と随分遠い感覚だと思うんですが」


「創造とは理解と感性の仕事なんだよ。理解が方向を決め、感性が形を作っていき、最後にそれを理解によって埋めていく。どちらも一流であって初めて創造は完成する」


ダビデはゆっくりとその言葉を咀嚼していく、理解を、感性を自分が本当に満たしてきたのか。


ひたすらに絵を描いた。絵で生きるという難問を頭で何度も考えて、同級生が遊ぶ中でひたすらに絵を描いた。


それは正しかったのか。


理解は絵を描くことで鍛えられた。しかし、感性は、感性はどうなのか。


名作と言える絵を何枚も見た、文学も、科学も、数学も。


しかし、しかし、感性は楽しむと言う事、ダビデは考える、私は知っているのか。浴びるような悲しみを、溢れ出る様な喜びを、吹き荒れる怒りを、そして幸せを。


考えるダビデをしっかりとガウスはしばらく見守った。



ダビデはゆっくりと前を向いた。考えている間に何度も、何度も涙を流しながら。

「落ち着いたか」

そういって、ガウスは一杯のコーヒーをダビデに渡した。ダビデはそれをゆっくりと飲み込んだ。



「今日はありがとうございました。すいません、コーヒーまで頂いて」

 ガウスはにっこりと笑うと言った。

「いや、楽しかったよ。後は君が考える、分かるね」

「はい」

「そうだ、最後に最も重要な言葉を伝えておこう」

「??」


成功する上で最も気を付けなければならないのは、失敗することではない。何よりも重要なのは成功を幸せになれない言い訳に使う事だ_せんせい


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