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快楽と幸福への魔導論  作者: アルケニア
2/8

議論の始まり

 ガウスの元に届くいくつかのメールの中にガウスはトマスからのメールを見つける。このもう一つの話はここから始まることとなる。

 ガウスが大学から割り当てられた部屋は大きくも小さくもない。部屋に入ると目を引くのはホワイトボードであろうか。幾つかの式が描かれているがそれは乱雑で書きなぐったようなものが大半で人が見ても、同じ学者でも分からないほどだ。その次に目を引くのは何冊もの本であろうか。何十と言う数の本がそこには置かれているがそのジャンルは数学、物理を中心に色々な言語の本が置かれている。良く見ればホワイトボードにも幾つかの言語が使われているのが分かる。

 ガウスはトマスからのメールを見ると、一人の学生が自分に会いたいと言っている事を知る。いつものようにガウスは研究室に来るように決まった対処をしようとして、その少年が以前に戦う予定だった少年、少女の一人、ダビデであることとちょうど研究に一段落がついたためにガウスは少し考えながらメールを書き始めた。

 メールを書き終えたガウスは何を話すかを頭の中で整理し始めた。



 数日後、ガウスの部屋にダビデが現れた。ダビデは失礼しますと言って部屋に入り、ホワイトボードや本棚を見まわしながら、ガウスの方を向いて訪問に応じた事にお礼を言った。ガウスは謙遜しつつ、ダビデに椅子に座るように促した。

「さて、ダビデ君。君は何が知りたくてここに来た」

「私は成功する方法が知りたくて、ここに来ました」

「くっ・・・、ははははははは。あはっはっはっは。面白い少年だな。それを私に聞いて怒られるとは思わなかったのか」

「そうなることも想像は出来ましたが、先生なら私の欲しい答えを持っているような気がしたので」

「考えた上での行動か。随分と前のめりに生きるのだな。もっとゆっくりと生きて、自分でじっくりと考える事も出来るだろう」

「でも、その選択肢は先生も選んでいるようには見えない」

「そうだな。その通りだ。茶化すのは止めるとしよう。しかし、結論から言って成功する方法なんて私も知らないな」

「いや、でも・・」

「確かに成功する方法は知らないが、私が成功するために考えた事を教えることは出来る。しかし、しかしだ。賢い君なら理解できるだろうが、それは私が何年も経て手に入れた物だ。簡単に君に渡そうとは思わない。分かるね」

「はい」


「君は私に何を指し出せる何かを為したいと思うなら、少なからず、語って余りある知性を持たなくてはならない、分かるね」


「はい」

「そこでだ。私は今、退屈している。だからこそ、本来では受けない君からの専門外の質問を受けたのだ。だからこそ、多少の誘導こそするが君の力で結論に辿りつかなければならない」

「分かりました」

「では、議論を始めようか」


「まずは成功について定義をすることから始めなければならない」


「定義ですか」

「当然だ。定義のあいまいな物を手に入れることなどできない。これについては私の方から提出する事にしようか。この議論では『成功とは明確な幸せ』と言う事にしよう」

「早速ですけど、明確な幸せってなんですか」

「それを初めに議論していこうか。ではいきなり幸せについて議論しても答えは出ないだろう。分かりやすく不幸について考えよう。不幸の具体例を上げてくれ」

「ええと、大切な人を失う。挫折する。人から嫌がらせを受ける。・・ぱっと思いつくにはこれくらいです」

「大切な人を失うは不可避だ。そのことを考えるとこれは除くとしよう。挫折するについても君が聞きたい『成功』に対するものだから、ここでは後で議論する。先に人に嫌がらせを受けることについて考えていこう。ここから分かるのは少なくとも幸せになるには人に嫌がらせを受けてはいけない、もしくはそうなることがほとんどないことが必要になる。ではその条件に当てはまる。引きこもりは幸せか」

「いえ、もちろん、例外はあると思います。でも大抵は不幸だと思います」

「なぜ、そう思った」

「んん、・・・。それは彼らが一般的な社会生活を送っていないからです。一般的な社会生活を営めないのは何かが正常でないということだと思うので」

「そうすると君は正常であれば、幸せだと言う事か」

「はい」

「では、君はどういう状態が正常だと思う」

「心身ともに正常な状態、つまりは健康な状態だと思います」

「んん、これ以上深く考えると時間が足りなくなるな。分かった。つまりは『幸せな状態とは心身ともに正常な状態』を言う事にしよう。ここまでの議論で『成功とは心身ともに正常な状態を維持する事』と言う事になった。そこで君のようなタイプの人間が一度は考える疑問が浮かぶ」


「何かを成す人間は本当に人生の成功者足りえるか」



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