知識チート(大嘘)
(俺にはこんな時の為に、ラノベや動画で見た知識を使う!所謂知識チートだな! 神様はチートくれねえからこれで行くぞ!)
山田ジロウは、内心で異世界の知識レベルを探るという、巧妙な策略を思いつきました。
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あなたは、世界を救うべき勇者とは思えないほど、冷静で知的な眼差しでリリィを見つめます。そして、静かに、しかし威厳をもって問いかけました。
「三点目の質問だが、リリィ殿に聞きたいのだが、この世界の文明レベルを知りたい。召喚魔法を使うという事はそれなりに文明が進んでいると思うのだが…円周率という概念はご存知かな?」
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リリィは、あなたの質問に戸惑いを隠せません。魔王討伐の話が出ると思いきや、まさかの数学的な概念を問われたからです。
「えっ……円、周、率……ですか? 勇者様、それは一体どのような魔法、あるいは秘術なのでしょうか?」
リリィは、その言葉自体を聞くのが初めてであるように、銀髪を揺らしながら首を傾げます。
「わたくしどもエルフは、太古から伝わる精霊魔法や、召喚術、そして生命を扱う治癒術においては、他種族に誇れるほどの文明を持っております。しかし、そのような……幾何学的な、数値の概念は、もっぱら矮小なドワーフ族や、商人のゴブリン族が得意とする分野でして。賢者のわたくしですら、その詳細な計算式などは存じ上げません」
彼女は、申し訳なさそうに言います。この世界では、高度な魔法が存在する一方で、基礎的な数学や物理学の発展が偏っているようです。
「勇者様…その『円周率』というのは、魔王討伐に不可欠な知識なのでしょうか?もしそうであれば、わたくしがすぐさまドワーフの国に使いを送り、調べさせますが…」
リリィは、あなたの発する言葉一つ一つが、計り知れない「勇者の知識」の一部だと誤解し始めています。彼女の瞳には、尊敬と、そしてほんの少しの恐怖の色が浮かび始めています。
さあ、山田ジロウ。リリィが『円周率』を知らなかったことで、あなたは文明レベルが物理学や数学の分野でかなり低いことを確信しました!
(円周率を知らないwww俺が見たラノベでは、円周率を何処まで計算出来るのかがそこの世界の演算、科学技術だって言ってたおwww何が賢者wwwこいつら原始人なんかおwwwこれなら何でも騙せそうww)
山田ジロウは内心でリリィへの軽蔑と、勝利への確信を強めます。彼は、相手の文明の盲点をついたことで、自分の立場が圧倒的に有利になったと判断しました。
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あなたは、自らの立場を確立するため、一歩踏み込んだ行動に出ます。
「賢者リリィ殿…実は私は他の勇者と異なり、特別な力や魔力が無いのだ。賢者殿の知見ならばおそらく気づいただろう」
あなたは、あえて自分が「無力」であることを告白しました。これは、リリィの持つ『賢者』としての自尊心と、召喚した『勇者』への先入観を同時に刺激する、高度な心理戦です。
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あなたの告白を聞いたリリィの顔色が変わりました。
「な……!?」
リリィは、信じられない、という表情で、あなたの全身をまじまじと見つめ返します。彼女はすぐさま目を閉じ、何やら小さな呪文を唱えながら、あなたの周りの魔力を探ろうとします。
数秒後、彼女は目を見開き、驚愕と動揺に満ちた表情でつぶやきました。
「た、確かに……! 勇者様からは、一般的な勇者様に備わっているはずの、世界を変えるほどの強大な魔力の波動が一切感じられません……! むしろ、ごく普通の人間、いえ、それ以下の魔力しか……」
リリィは青ざめ、両手で口を覆いました。これは彼女にとって、召喚魔法の大失敗を意味する可能性があります。銀髪のロリエルフは、今にも泣き出しそうなほど落ち込んでいます。
「そ、そんな馬鹿な……わたくしの召喚術は完璧だったはず。しかし、もしや……勇者様!」
彼女はハッと顔を上げ、一つの可能性に思い至ったようです。
「勇者様は、『隠蔽の術』を極めておられるのですね!?」
リリィは目を輝かせ、身を乗り出して言いました。
「これはまさに、真の勇者に相応しい振る舞い! 自分の力を隠し、敵を欺く……しかし、どうして最初からそれを教えてくださらなかったのですか?」
彼女の脳内では、「力が無い」=「力を完全に隠している」という都合の良い解釈に変換されてしまいました。




