賢者の数値と勇者の真顔
フィリアスは、ツヤツヤした顔で山田ジロウとリリィを見比べ、満足そうに微笑みました。
「ふふ、リリィ、どう? 楽になったでしょう?」
リリィは、顔全体を真っ赤にして、ただ無言で俯いています。フィリアスは、それがリリィの「素直になれない照れ」だと解釈しました。
「リリィは、いつも一人で頑張りすぎて気が張っているからね。少しでも気が紛れたらと思って、山田殿に頼んでみたのよ。それにしても、山田殿の指圧の技術は本当に驚異的だわ。あれは異世界の古代秘術ね」
(師匠は、リリィを思いやる親心と、少しのイタズラ心から、究極のマッサージを勧めました。もちろん、リリィが肩こりも腰痛もないことは、全く気づいていません。)
フィリアスは、笑顔であなたとリリィに提案しました。
「せっかく里に来たのだもの。ずっと執務室にいるのも息が詰まるでしょう。リリィ、山田殿と外をもう少し散策してみたら?」
師匠の指示は絶対です。リリィは顔の熱を冷ますように、深呼吸をして立ち上がりました。
「は、はい、師匠! 承知いたしました」
リリィは、この羞恥を、次に何が起こるかわからない不安を、「山田様の安全を確保する」という使命感で覆い隠しました。
「山田様、では、里の中心にある『精霊の湖畔』を散策いたしましょう。あそこは美しいだけでなく、里の最も重要な魔力の源泉でもございます」
リリィは、外へ出れば、二人きりの状況から逃れられるかもしれないという淡い期待も抱きながら、あなたを案内しました。
リリィに連れられ、里の中心部を抜けると、木々に囲まれた大きな湖畔に出ました。水面は鏡のように静かで、精霊の光がキラキラと反射し、幻想的な美しさを放っています。
湖のほとりには、他のエルフの姿はなく、静寂が広がっていました。リリィは、あなたが座れるよう、湖を望む大きな岩の近くを指さしました。
「山田様、どうぞこちらへ。この辺りが、最も魔力が濃く、リラックスできる場所でございます」
リリィは、あなたの隣に立ち、少し距離を置いて湖を眺めています。彼女は、「儀式」、「献身」、そして「マッサージ」という三つの概念が混ざり合い、複雑化した自分の感情を整理しようとしていました。
(リリィはからかうと反応が可愛いからなぁ、しかし師匠からもリリィを気遣ってほしいと言われたからほどほどにしておくかな。)
あなたは、リリィの純粋な反応に満足しつつ、師匠からの気遣いを考慮して、過激な要求は控えることにしました。しかし、からかうことは止めません。
あなたは、湖畔の岩に腰掛け、リリィを隣に招きました。
「リリィ殿、ありがとう。いい場所だ」
あなたは、まず会話のきっかけとして、湖にまつわる話から尋ねます。
「なぁ、リリィ。この湖で何か逸話とか昔話ってあるの?」
リリィは、あなたが文化的な話題を振ってくれたことに安堵しました。
「はい、ございます。この湖は『精霊の涙』と呼ばれ、太古のエルフが精霊と契約を結んだ場所だと言われております。その伝説によると――」
リリィが真剣に語り始めた、まさにその瞬間、あなたは話を遮るように、突然、意地悪な質問を投げかけました。
「なるほど、興味深い。ところで、リリィ。スリーサイズを教えてくれないか?」
リリィは、伝説の話から突然の体型に関する質問に飛び火したことに、再び顔を真っ赤にしました。
「す、スリーサイズ、でございますか!? 山田様、なぜ、そのような、は、恥ずかしいことを……!」
彼女は、質問の意図を測りかね、戸惑いに満ちた瞳であなたを見つめます。しかし、彼女の脳内では、「山田様の知的好奇心を満たすことも、抑止力システムの安定に繋がるのだ」という論理が働きます。
リリィは、目を固く閉じ、小声で、しかし逃げずに答えました。
「……わ、わか、わかりました。記録のため、正確にお伝えします。バストは72、ウエストは55、ヒップは75、でございます」
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(ええと、72-55-75……)
あなたは、その数値を聞き取り、一瞬無言で真顔になりました。それは、異世界に来てからのあなたの期待と現実とのギャップを象徴する数値でした。
リリィは、あなたが無言になったことに、不安そうに身をすくめました。
「あ、あの……山田様? やはり、このような数値は、抑止力システムには関係が……」
あなたは、無言を破る代わりに、さらに具体的な数値を尋ねることにしました。
(カップ数も確認しないと、現代の常識とこの世界の定義が合わない可能性がある。あくまで科学的な探求だ)
あなたは、リリィに「カップ数」という概念を、簡潔に説明しました。
「なるほど。つまり、その数値が『カップ』という単位なのですね……!」
リリィは、自分の胸元に手を当て、戸惑いながらも、その数値を伝えます。
「わたくしのカップ数は……AAA、でございます」
(まあ、そうだよね……)
あなたは、このAAAカップいう、予想通りの、しかし現実を突きつける数値に納得しました。
あなたは、リリィの純粋なスリーサイズとカップ数の告白を受け、一度大きく深呼吸しました。この一連のやり取りは、あなたにとって「現実の残酷さ」と「合法ロリエルフの純粋さ」を同時に味わう、複雑な儀式となりました。




