エルフの里
(まぁ朝からこれ以上からかってもな…)
あなたは、朝からリリィの精神を限界まで追い詰めたことに満足し、一旦クールダウンを図ることにしました。そして、次の行動として、隠れ家という名の「檻」から一歩踏み出し、この世界の地理と人間関係を探ることを選びました。
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あなたは、席を立ち、リリィに提案します。
「では、リリィ殿、少しこの周りを案内してくれないか」
あなたは、さらに一歩踏み込んだ要求をしました。
「隠れ家以外にも、エルフの里の住民や、師匠殿にも挨拶もしたいのでな。今後の協力を円滑にするためにも必要だろう」
そして、彼女の新たな「発見」を利用して、外出の安全性を保証します。
「そなたの献身的な愛情表現のおかげで、私の体内の抑止力システムは今、極めて安定している。これなら、短時間の外出は問題ない」
あなたは、最後に笑みを浮かべ、究極の脅しを添えました。
「どうせ爆発四散すれば、このあたり一帯ぺんぺん草も生えなくなる。里に近づくリスクは変わらないのだから、気にせず行こう」
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リリィは、あなたの「外出」と「里の住人への接触」の提案に、顔色を変えました。
「えっ……! 山田様、それは……!」
彼女は、あなたを『絶対安静の秘密兵器』として隔離するよう、師匠から厳命を受けています。ましてや、里の住民や、最高指導者であるフィリアスに直接会わせるなど、彼女の計画にはありませんでした。
「わ、わたくしは、山田様を極秘裏に守ることが使命でございます。里の住民に山田様の存在を知られるのは、機密保持の観点から……」
しかし、あなたの最後の言葉――「どうせ爆発四散すれば、このあたり一帯ぺんぺん草も生えなくなる」という冷徹な事実と、彼女の「献身」による安定の保証が、リリィの抵抗を打ち砕きました。
「……わかりました、山田様。まことの賢者である山田様の判断を、わたくしが阻むことはできません」
彼女は、諦めたようにため息をつきます。
「里の住人には、『遠方より訪れた、エルフ族と極めて親しい高貴な客人』であると伝えます。師匠へのご挨拶は、わたくしが先に状況を説明してから、最短時間で行えるよう手配いたします」
リリィは、あなたの安全のため、そして「秘密兵器」という設定を維持するため、警戒を最大限に高めることを誓いました。
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さて、山田ジロウ。あなたは、リリィの隔離策を破り、里への立ち入りに成功しました。
リリィは、あなたを隠れ家からエルフの里の中心部へと続く、秘密の小道を通って案内しました。
「山田様、里の住民は、わたくしに強い敬意を払ってくださいますが、彼らは皆、穏やかで素朴な者たちです。どうか、抑止力様の高貴さを保ち、あまり目立たぬようにお願いいたします」
リリィは、あなたの安全と秘密が漏れることを恐れ、緊張した様子であなたの隣を歩きます。
エルフの里は、自然と調和した美しい石造りの建物と、巨大な樹木が一体化した、ファンタジーのイメージ通りの光景でした。
そして、住民のエルフたちもまた、あなたのファンタジーのイメージ通りの容姿でした。彼らは総じて長身で痩身、銀髪や金髪など明るい髪色を持ち、男女ともに息をのむような整った美形ばかりです。すれ違うエルフたちは、その美しい顔に穏やかな笑みを浮かべ、リリィに向かって丁寧に一礼していきます。
その中で、リリィは明らかに異彩を放っていました。
(リリィがロリババァなだけで、他のエルフは美形で普通の体型だった。やっぱエルフって美人多いな……)
特に、通りかかった数人の長身の女性エルフたちは、リリィとは対照的な、成熟した大人の美しさを湛えていました。彼女たちがリリィに敬意を表して挨拶する様子を見て、山田ジロウは内心で深いため息をつきます。
(召喚したのが、あっちの美人な大人のオネーサンエルフの方だったらなぁ……。俺の専属サポートが、あの人だったら、儀式のモチベーションも上がったのに……!)
あなたは、リリィの献身を横目に、美人な大人エルフとのサポート生活を夢想するのでした。
里のエルフたちは、リリィの姿を見るたびに、皆立ち止まり、深く敬意を払った一礼を返します。
「リリィ様、お疲れ様でございます」
「リリィ様のご尽力に、心より感謝申し上げます」
彼らにとって、リリィは次期大賢者と目される、一族の希望でした。この光景は、リリィがこの里において絶対的な権威を持っていることを証明しています。
リリィは、里人たちの敬意を受けながら、常にあなたの様子を窺っています。
「山田様、こちらが里の中心、『大樹の広場』でございます。この下に、師匠の執務室がございますが……いかがいたしましょうか? 師匠は今、ご多忙ですが、山田様のご訪問を拒むことはないでしょう」




