表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自分用  作者: 雑草魂
2/2

追加

「勇者よ、良くぞ魔王を討ち取ってくれた。これでようやく戦争が終わった。平和な世を作ってくれたこと感謝する」

私はたった一人で勇者として魔王を打ち倒し今目の前で王と謁見していた

とはいえ、私は魔王を倒した時からこれからの事で迷っていた。

平和な世に勇者は必要ない。

だからこれから王がいうことも大体察しが着く

「よって勇者に名誉公爵の爵位にし、東の地の領地の領主とする。よいな?」

東の地の領地といえば聞こえがいいがあそこはほぼ未開拓の地、実質的な左遷ということだろう。それに屋敷すら怪しい。

私は勇者は王に捨てられたんだ


何も無い荒野

それが私の初めての領地らしい

それも凶悪な魔獣が多く生息する魔境

魔王城に1番近い場所こそが我が領地なのだ

この前倒したばかりだから近いのは別にいいけどせめて街になってから領地欲しかったな。

とはいえ、文句を言っても仕方ない。

この前倒した魔王城のお隣さんだが一から領地を作って行くしかない。


切り替えていこう

何も無いなら作ればいい

幸い私は一人で何でもやってきたぼっち勇者の経験がある

魔法も使えるし薬学もあるし剣術も使える

多彩なのが私の取り柄なのだ。

まずは魔法で木材を集め家を組みたてていく

いわゆるログハウスだが、1人だしこれくらいでいいだろ。

あとインフラを魔道具と組み合わせて揃え水火電気の供給を楽に行えるようにした

それと同時に荒野を魔法で耕し改良し野菜に適した土壌に変える。

自給自足は必須

食べ物は自分で作るしかない

穀物や米なども生産し始め魔法で成長促進を使用。

翌日には実っていた

腹が減っていたのでとりあえず生で食べることにしたがどれも美味かった。

次に簡易お風呂土魔法で湯船を作りお湯は魔法で出す

そうして風呂となったことでようやく身体を綺麗にすることができた。

そんな時だった。魔族領の方から魔族達がやってきた

「まってくれ!敵対したいわけじゃない!勇者、知っての通り敗戦国の魔王国は今は立て直すために食糧が足りていない。勇者さえ良ければなんだが食糧をわけてくれないか?」

私の責任でもあると考えた私は二つ返事で分けてやることにした。

魔族達は恨んだ様子もなく喜んで食糧を持って帰ってきた

「私の事恨んでないのかな」

魔王を殺して戦争を終わらせたのは間違いなく私なのに彼らは食糧を与えたら例を尽くしてくれた。戦いの最中も感じていたことだが人間も魔族も変わりないのではないか?

魔族達は帰って家に戻る

誰もいない寂しい家だ

私は元々コミュ障だからこっちの方が安心する

寂しいなんて思ったこともない

でも、頑張って魔王を倒した結末と考えるととても虚しい

ボスンっとベッドにうつ伏せになると思い出す

子供の頃から人と関わるのが苦手だった

親に捨てられ孤児院で育てられたがどこへ行っても1人だった

そんな1人の時間を潰すために冒険者の真似事をはじめた

最初は一人で素振りを繰り返していた

体力を付けるために走り込みを繰り返した

筋力を付けるために重いものを振り回した

成長して身体が出来上がった頃には剣術と体術を野生の魔物相手に習得した

でも所詮は暇つぶしなので今度は魔法を勉強した

魔法書を読み漁り何度も失敗を繰り返した

教えてくれる人などいないので自分なりに魔法を解析し新しい魔法も作れるようになった

そしてまた極めてしまった

暇つぶしがなくなった私は色々なことに手を出し極めたら次極めたら次と繰り返していた

そしたらある日突然戦争が始まり国王に呼ばれた

不幸なことに私のことを聞きつけた国王によって勇者になることになった

私はただ暇つぶしでやっていただけなのに

ハッキリ断れない私は流されるまま出発することになりそれから仲間を作ることも出来ず結局最後までやり切ってしまった

虚しい

助けた人が喜んでくれても恥ずかしくて逃げてしまう

よって勇者はそっとしてあげた方がいいという空気が生まれてしまった

仲間もいなければ誰からも話しかけられない

そんな状況で人間に過剰な思い入れができるはずもなく黙々と作業をこなしていった

真っ向から挑んで来る分魔族の方が親しみがあるぐらいだ

なんで自分はこんなことをしているんだろう

魔族が悪というが私にはそうは思えなかった

思えなかったが殺しにくるので戦うしかなかった

魔族からは嫌われ憎まれ人間からはハブられる

私ってそこまで他人に尽くせる性格じゃないんだよねぇ

何となく流されてここまでやってきただけで本当は戦争なんてどうでもいいし

魔王ってどんなやつなんだろう?

悪逆非道なクソ野郎だといいな

じゃないと私完全に迷惑野郎じゃん

いや乙女なんですけど

そんなふざけたことを考えながら魔王城で魔王と対峙した

「よくぞここまでたどり着いたな勇者!」

なんだろう

今までで1番強そうなのに1番悪そうに見えない

なんかこのおっさん凄く嬉しそうだし

感情高ぶって魔力溢れてるし

思ってたんと違う

私が様子を見ていると魔王はペラペラと話しまくる

話が長すぎて帰ろうかと思った

でもなぜかな

久しぶりに人に話しかけられたな

この魔王なら鍛えすぎた私でも相手をしてくれそうだ

そう考えると少しワクワクしてきた

でも結局私が勝ってしまった

初めて向き合ってくれたのに勇者だからという殺さないといけないのか

そう考えるとトドメをさせなかった

させなかったから私は提案したんだ


「夢か・・・」

懐かしい夢を見た

ここからでも見える魔王城での出来事だけど

ん?

勇者の私が魔王領と人間領の国境にいる状況

もしかしてこれ戦争が終わっても魔族から人間を守れってこと?

私がいれば攻められないとかそういう感じ?

くっそあのハゲ!

私を都合のいいように使いやがって!

今度あったら残りの髪の毛むしり取ってやる!

そんな勇気ないけど!

「とはいえ・・・これからどうしよう」

自分が使う場所以外は手付かずの荒野

そして目の前には魔王領

後ろには人間領

板挟み!

戦争が終わった今ちょっかいかけてきそうなのは人間だろうな

貴族達とか特に

魔族からは恨まれてるだろうし単純に殺されそう

でも食糧難らしいし心配だな

「また来るかもしれないし食糧増やそうかな」

私は魔族側のために開拓することに決めた

ハゲの思い通りにはなりたくないのだ


私 元勇者 ピチピチの17歳

今日も一人で農業に勤しんでおります

「魔法があるから一人でやっていけてるけどこないなぁ・・・」

また魔族達がくるかと思い拡張しすぎてしまった

魔法でどうとでもなるけど残った食糧は流石に食べきれない

「いっその事寄付しにいこうかな。でも勇者がまた現れたら怖いだろうし怒るだろうな・・・」

ウジウジと考え込んでいると荒野を歩くやせ細った魔獣親子が現れた

シルバーファングだ

大型の狼のような魔獣で群れで行動するとても賢い魔獣だ

それなのに2匹だけで今にも倒れそうなフラフラした様子で近付いてくる

「そうだ!水とお肉!ちょっと待っててね!」

私動物と魔獣は結構好きなのだ

だから困ってるなら放っておけない

人じゃないから話しやすいというのもある

一瞬警戒されるが限界だったのか母親の方が倒れる

子供が母親の前に立ち威嚇してくる

「ここに置いておくね お母さんにも食べさせてあげて」

水と食糧を置いてその場を去る

そして怪我をしてるようだったので遠くから回復魔法をかけた

あとは食べてくれるだけでいい

頼むから食べてくれ

私は君達を助けたいんだ

遠くに移動してからこっそり振り返る

良かった2匹で美味しそうに食べている

「可愛い・・・今なら大丈夫かな・・・」

可愛さにつられて戻ろうとした時シルバーファング達の方から駆け寄ってきた

警戒した様子もない

どうやらお礼を言ってるようだ

「可愛い・・・元気になって良かった。よしよし」

おっきいけどやっぱり狼だな

嬉しそうにしてくれる

人間は苦手だけど魔獣は好き

だって素直なんだもん

「とはいえこんな荒野でまた2匹で放つのは可哀想だよね。ここならご飯なら好きなだけあるけど良かったら一緒にどう?」

2匹は嬉しそうにワンと吠えた

やったね!第一領民だ!

人は苦手だし魔獣と動物だけの領にしちゃってもいいかな

「そういえば君達親子だよね?名前はあるの?」

悲しそうにクーンとなく

どうやら名前はないらしい

「私が名前付けてもいい?」

嬉しそうにワンとなく

「じゃあ、ママがルーナ、月みたいに綺麗な毛並みだから!子供の君は、オッドアイが綺麗だからレイ!よろしくね!」

ネーミングセンス?そんなものならってないので知りません

2人が喜んでいるのでいいのです

「よしよし、2人の寝床も作らないとね。身体が大きいから私の小屋だと小さいもんね。」

余った材木を使い魔法でパパっと家を建てる

自分の家より大きくなっちゃったけどまぁいいか

雨風がしのげて結界完備だから奇襲されることもないよ

2人のために肉なる木からお肉を持ってこよう

肉なる木は植物性の肉を実らせる木である

生々しくて人間領にはないけど魔族領には普通に生えてる木である

この肉、下手な高級肉より美味しいから育てているのだ

「ここがルーナ達のお家ね。お肉と飲み物はここに置いておくからお腹すいたら食べてね」

私が小屋に戻ろうとすると悲しそうに視線を向けてくる

「大丈夫だよ!私は隣の小屋にいるから!そんな悲しい顔しないで!?」

私が慌てているとルーナがその大きなモフモフな身体を丸めてこっちおいでと誘ってくる

レイもこっちだよと誘導してくる

「こんなの我慢できるかー!あー!モフモフ最高!」

その日は3人でぐっすり眠りについたのだった


翌日

一晩ゆっくり休んだおかげか2人とも元気になっていた

私は子犬のようにルーナの身体に埋もれていたかったがさすがに起きないといけないとおもい仕方なく起きた

「ルーナとレイモフモフ過ぎて今までで1番熟睡できたよ~!ありがとね。」

昨日まで鬱々としていたがルーナ達のおかげで気分が晴れた

最初は飼い主とペットの関係だと思ってたけどルーナの母性にやられた私はレイと同じ立ち位置になってしまった

孤児だったんだもの仕方ない

「そういえばルーナ達が飢える程ってことはあっちはかなりヤバいはずだよね・・・もしかしたらここにくる体力もないほど危ないのかも・・・よし!ルーナ!レイ!食糧持っていこう!私一人だと怖がられるけど魔獣のルーナ達がいればわかってくれるよね!知らんけど!」

一人じゃなくなった私は気が強くなっていた

まぁ、私は結構適当なところがあるので許して欲しい

食糧をまとめ収納魔法にいれ必要になりそうなものをまとめる

お隣さんにおすそ分けするだけだ

そうだ 人間じゃないから怖くない

「よし!行くよ!」

そうしてルーナに乗り魔族側に旅立った


「思ってたよりやばそう!顔隠してるとはいえ私が通っても何もしてこないほど弱ってるじゃん。」

魔王領の村に入ると既に壊滅寸前といった様子だった

これが戦争に負けた国の末路

自分が1番関わってきたことだけに責任を感じる

ここで正体をあかせば確実に混乱を招く

ルーナ達には隠れてもらったけど早速頼りたくなってきた

「でも・・・私がやったことだから・・・」

収納魔法から食材を取り出し、料理道具も取り出す

「自分がやった責任はちゃんととる!今からみんなの料理作るからちょっとまっててね!」

私がドタバタやり始めると弱っていた魔族達が様子を伺ってくる

こんなこともあろうと調理器具も持ってきて良かった

ついでいうとこう見えて料理は得意なのだ

自分の身体を作る料理に妥協したくなくてミッチリ修行したからそこらの料理店でも働ける

まぁ、独学だし人が苦手だから働かないけども

「ええい邪魔だ!正体なんか知ったことか!ルーナ達も出てきていいよ!」

めんどくさくなりローブを外す

ルーナ達が出てきたことで一瞬ザワついたが必死に料理する私を見て敵では無いということを悟ってくれたようだ

「お待たせ!みんな好きなだけ食べて!飲み物もあるからね!」

「きてくれたんですね」

「あ!あの時の!」

「はい、1度だけならまだしも2度も・・・ありがとうございます!」

「いいから食べて食べて!足りなかったんでしょ?食糧ならいっぱいあるから!」

「うぅ・・・美味しい・・・美味しいです・・・」

「私の責任だから・・・ごめんね・・・こんな思いさせて」

「いえ!それは違います!」

「え?私のこと知ってるよね?勇者だよ?」

「それは知ってます!でもこの飢饉はあなたのせいではありません!魔族の貴族のせいです!」

「貴族??」


食事を終え大規模回復魔法で村人が回復した頃

飢饉になった原因を聞いていた

戦争で儲けていた貴族が終戦したことによって収入が減ったので国民への税率を倍増させ払えなくなった国民は飢饉に陥った

ついでに食糧そのものの金額も高くなりその多くは貴族の懐に入ってるらしい

彼女達は私のせいじゃないと言ってくれたけどやっぱり責任感じるよ

戦争が商売になることは知ってたけどここまで変わるとは

「ねぇ、その貴族が管理してる領って他にあるの?」

「隣村も該当しますけど貴族がいる村なのでここほど困窮してません」

「ならさ、うちの子にならない?」

「へ?」

「私、人間側の辺境の領主なんだよね。今はこの子達しか住んでないけど食糧は腐るほどあるんだよね。それに税金も今のところいらないし家ならすぐ作れるからさ」

「私達は魔族ですよ?」

「ハゲじゃなくった・・・国王からもらった領地だけど私あいつ嫌いなんだよね。私を思い通りにできる駒だと思ってるし知らぬ間に君達を味方に付けていたらあいつらの度肝を抜けるかなって。あ、もちろん私が責任持ってみんなを守るし平和な街にするよ!私だけの国にしちゃってもいいね!私勇者だし!あ、ごめん、ハゲへのストレスでつい」

あいつへの意趣返しを考えていたらヒートアップしてしまった

でも彼女達はむしろ嬉しそうだ

「移住させてもらってもいいでしょうか?前から気になってはいたんです!」

「よし!じゃあ君達は貴族に意趣返し!私はハゲに意趣返し!やったろう!」

「おー!」


ストレス抱えていたもの同士意気投合し私の転移魔法であっという間に私の領地にやってきた

予め建築資材は貯めていたので片手間に設備を整えていく

「これは勇者様の魔法ですか?」

「うん、私人間苦手だから頼れないんだ。だから何でも一人でできるように魔法を研究したの。」

「私達は大丈夫なんですか?」

「あ!確かにそうだよね!なんか魔族の方が親しみ感じてたからかな!おかしいね!」

「というか魔力は大丈夫ですか?そこまで頑張らなくても私達も手伝いますよ!」

「鍛えてるから大丈夫!伊達に勇者やってなかったし!あ、でもやりすぎだよね・・・みんなの達成感とかも必要だよね・・・ごめんねなんか・・・いつも1人だったから慣れてなくって」

「いいえ、勇者様のお気持ちは凄く伝わってます。私達のためにやってくれたんですよね?」

「とりあえず皆の家は作ったから!?食糧は畑と保管庫にいっぱいあるから!ええとええと!私どこまでやった方がいいかな!?」

「ようやく相談してくれましたね。ひとまずこれだけあれば十分ですよ。あとはゆっくり考えましょう」

「うん!そうしよう!」


「ルーナ!勢いで色々やらかしちゃった!恥ずかしい!」

家に帰った私はモフモフのルーナに愚痴をぶちまける

ルーナは優しく受け入れレイが慰めてくれる

癒される

あの女の子最初から私のこと警戒してなかったしなんでだろ?

仲良くなれたのは嬉しいけど昔あったことあったかな?

「そういえば名前聞いてなかったな・・・明日聞かないと・・・スヤァ」


「おはようございます!勇者様!」

「お、おはよう・・・ゆっくり休めた?」

「はい、おかげさまで。ところで昨日と何かご様子が・・・」

「昨日は勢い任せにやったから思い返すと恥ずかしくって・・・あと君の名前聞き忘れてたから」

「あ、私はミレーナと申します!実は戦争中に助けてもらったことがあるですけど覚えてますか?」

「え?戦争中に?うーん・・・?」

「人間の盗賊に攫われた時のことです。」

「ん?女の子助けたのは覚えてるけどあのこ!?なんか記憶よりかなり成長してるような」

「魔族は成長が早く寿命が長いですから。あの時は本当にありがとうございました!」

「うん・・・」

「勇者様?」

「いや、感謝されるのって久しぶりで・・・私勇者だけど人見知りだから人間領では話しかけるのすら失礼とか思われてて・・・だから勇者やってるのも馬鹿らしいなって思ってたから・・・だから・・・なんか嬉しくって」

「勇者様、お名前をお聞きしてもいいですか?」

「ミラだけど・・・」

「私はミレーナ、あなたはミラちゃん!恩人にこういったら不躾かもしれませんが私とお友達になってくれますか?」

「お友達・・・私が?いいの?」

「はい!ミラちゃんさえよろしければ!」

「うん!なる!友達!私の初めての友達!よろしくね!」

「こちらこそよろしくお願いします!」

「えへへ、なんか照れるね。イマジナリフレンドじゃない本物の友達・・・」

「ミラちゃん・・・そこまで拗らせて・・・」


「よーし!頑張るぞ!」

「程々にね。ただでさえ規格外なんだから・・・」

「で、ですよね・・・」

「勇者様!大変です!奴らが来ました!」

「もう来たのか・・・以外と早かったね」

「ミラちゃん・・・」

「大丈夫!みんなはうちの子だから!私に任せて!」


「貴様か!我が領民を攫ったのは!?」

「人聞きの悪いことを言わないで!あんたがまともに管理できない無能だからうちで保護しただけよ!」

「無能だと!?貴様誰に向かってそんな口を!?」

「知らんわ!戦争以外の稼ぎ方を知らん貴族無能で十分よ!国民の食糧ぐらい領主なら賄いまなさい!甲斐性なし!」

「何を!?たかが人間が!」

「はぁ・・・やっぱりそういう魔族もいるのね。人間よりはマシだと思ってたのに・・・貴族は貴族かぁ・・・でも」

「なんだ・・・」

「私はあなたみたいに守るって誓ったから!前とは違う!今度は戦う理由がある!ならもう迷わない!」

「な、なんだこれは!?貴様は一体!?」

「私は元勇者ミラ!今はこの領地の領主よ!みんなの為なら私は貴族だろうと容赦しない!覚悟があるならいつでもかかってきなさい!」

「な!?馬鹿な!?勇者がなぜこんな所に!?」

「みんなはうちの領地に移住しました!あなたの指図は一切受け付けない!文句があるなら私に言いなさい!うちの子を傷つけたその時は・・・」

「くっ!引け!撤退だ!」

「全く・・・どいつもこいつも・・・ん?みんなどうしたの?もう大丈夫よ?」

「勇者ミラ様・・・魔族の私達を受け入れてくれたばかりか身体を張って守ってくれるなんて・・・あなたの元にこれたこと嬉しく思います」

「村長さん・・・」

「ありがとうミラ様!」

「ありがとう!」

「っ!?」

「かっこよかったぜ!スカッとしたぜ!」

「えへへ」

「ミラちゃん、やったね」

「うん!」


「いつの間にか街っぽくなったね」

「みんなで頑張った成果ですね」

「私は材料補充しただけだけどね。こんな荒野ですごいよ」

「それはミラちゃんだよ。たった一人でこの地にきて家と畑作って自立してその上人助けもして」

「成り行きだよ。でもあいつらから妨害きそうだな。魔族より信頼ならんやつらだし」

「人間領のこと?ミラちゃんって人間だよね?なんで人間が?」

「あいつらにとって私は駒だからね。自分の利益になるよう動かそうとする姑息な連中だよ。貴族にされてここに配属された時もお金とか物資何も貰ってないし」

「酷い!ミラちゃんはこんなに頑張ってるのに!」

「ありがとう。そう言って貰えただけすっごく報われたから大丈夫。」

「人間達が来ても私達がボコボコにして追い返してあげるから!」

「いやいや、それやったらまた戦争だとか言い始めるから!?同族の私がやらないと!」

「やっぱり国作った方がいいよ!ミラちゃんならみんな喜んで配下になるよ!」

「私もそれ考えたけど今は無理!?立場的には中立保つけど国となると色々大変そうだし」

「ん?それって国作りの方法は知ってるの?」

「まぁ、方法はね。流石に知識だけだけど」

「もしかして今までも作ろうとしてたの?」

「違う違う!ただの暇つぶしで覚えただけ!一人だと何かと暇だから色々やってたの」

「ま、まさか・・・剣術とか魔法も?」

「ん?そうだよ。元は暇つぶしだよ。勇者になったのもほぼ強制だったし勇者になるために覚えたわけではないから」

「普通暇つぶしでそんな強くならないから・・・」

「いやぁ、何でも中途半端は嫌いでさ!」

「ミラちゃんのチートっぷりは分かったけど頼ること覚えようね!ミラちゃんに足りないところだよ!」

「ど、努力します・・・」

「ミラちゃんが努力すると凄いことになりそうだな・・・でも必要なことだし」

「大丈夫!丸投げなんかしないから!私の天敵は暇だからね!」

「休むことも覚えようね!」


「ねぇ、ミラちゃん。」

「なに?」

「前から気になってたけどルーナちゃんってフェンリルだよね?」

「え?シルバーファングじゃないの?」

「シルバーファングはこんなに大きくないし強くないよ!どう見ても神獣だよ!」

「そうなんだ!まぁ、ルーナはルーナだし別にいいでしょ」

「雑!?魔法とかには妥協ないのに!」

「2人はこの荒野で彷徨い歩いてたんだ。群れからはぐれたのかと思ってたけどフェンリルなら二人でも納得かな。」

「フェンリルは群れないもんね。」

「でも怪我してたのは気になるかも。フェンリルならそこらの魔獣敵では無いはずなんだけど」

「一応警戒しておいた方がいいかもね。」

「はぁ、魔王何やってんだ?あいつ今度あったらシバいてやる」

「ん?魔王様なら元気になってるはずだけど・・・」

「え?もう回復したの?流石魔王・・・それで仕事もせず何やってるの?」

「さぁ?そこまでは私には・・・というか元勇者なだけあって気兼ねないね」

「変なやつだけど嫌いじゃないよ。殺さなかったのもあいつの性格故だったし」

「勇者と魔王だしバチバチの関係だと思ってたよ」

「魔王は話のわかるやつだけど国王は話聞かないやつだからそっちの方がバチバチかな」

「苦労してたのはよーく分かったよ・・・」

「ミラ様!ミラ様!人間がやってきました!」

「嘘でしょ・・・」


「勇者ミラ!お久しぶりね!」

「王女・・・」

「お父様からこちらに領地を貰ったと聞いて心配してやってきたのですが・・・街は出来てるのになぜ人はいないのですか?」

「私は大丈夫です!元気にやってますので!」

「なぜはぐらかすのですか!?あなたのチートっぷりは知ってますが生命までは生み出せなかったということですか!?」

「それは当たり前のことです!禁忌中の禁忌私では犯しません!」

「あ、ちなみにお父様は私がはっ倒しておきましたよ!大恩ある勇者様をこんな荒野に何も与えず向かわせるなんて言語道断ですから!」

「それはありがとうございます・・・本当に心配してくれてたんですね」

「当たり前です!」

「うーん・・・」

「勇者様 」

「執事のセバスチャンだっけ?」

「はい、あなたには妻と娘を助けられたことがあります。」

「あれは戦争とはあまり関係ない事件でしたけどね。でも元気なら良かった。」

「あの時言えなかったことを言わせてください。妻と娘を助けてくれてありがとうございました!深く深くお礼を申し上げます!」

「セバスチャン・・・」

「私も感謝してますのよ!国が平和になったのも勇者様のおかげです!」

「でも・・・戦争が終わっても問題は山積みです・・・戦争が終わったことで起きた問題もあるでしょう?」

「それは勇者様がおうべき責任ではありません!勇者様は責任感が強すぎます!」

「でも・・・」

「その通りです!もっと言ってやってください!」

「魔族!?」

「ミラちゃんは頑張りすぎなんです!」

「わかります!」

「姫さま!?」

「大丈夫よ!この子勇者様のこと思って言ってるもの!悪い魔族じゃないわ!」

「ミレーナ!出てきたらダメって言ったのに!」

「この人なら大丈夫だと思ったので」

「なるほど、魔族の方を領民にしてたから隠してたのですね。でもどうせ困ってた魔族なんでしょう?勇者様は変わりませんね」

「怒らないの?」

「何故ですか?戦争はもう終わったし魔族だからと助けない理由はありません。それをあなたが教えてくれたのですよ」

「私が・・・」

「魔族だから悪だとか人間だから善だとかそんなことはない。戦争を終わらせたのがその証拠。魔族も人間も同じ生き物で善でも悪でもない。悪は心の弱さが産むものだって」

「ミラちゃん・・・」

「だから好都合ですわ!ここに魔族の方がいるなら話してみたいです!勇者様が魔王と話したようにわかりあえる気がするのです!」

「ミラちゃん、この人本当にミラちゃんが言ってた人の娘?」

「実の娘だけど全然似てないんだよね・・・」

「グイグイきますね。もう打ち解けちゃってる」

「もうそれは諦めたけど・・・セバスチャン、もしかして何かあった?」

「お察しの通りです・・・姫様は避難しにこちらに向かわせたのです」

「私のところが安全ってことか・・・あ!やばい!客人用の部屋なんてないんだけど!作らないと!」

「勇者様・・・そこまで気を使わなくても・・・」

「どうせ泊まっていくんでしょ!結界も張ってええとええと!」

「世界一安全な領地ですよ。私達が保証します」

「そのようですね」


「勇者様!一緒に寝ましょう!」

「ちょ!?せっかく部屋作ったのになんでここに!?」

「せっかく会えたのに別宅なんて寂しいです!あと勇者様だけモフモフしてずるいです!」

「お、ルーナが許した・・・」

「モフモフですわ!これぞ母なる大地・・・」

「気持ちは分かるけど寝るのはや!?ルーナの母性凄いな!?」

「すみません!姫様こちらにいらしてませんか!?」

「きてますよ・・・もうすっかり寝ちゃいました」

「失礼しました!」

「大丈夫、なんだかんだ安心したのかも。私も気持ちわかるから。」

「勇者様・・・」

「ちなみにセバスチャン達もこの領地にいる以上保護対象だから、安心して休んでいいよ。どうせここではギスギスとした権力争いもないからさ」

「お気遣い感謝致します。では、朝になったらまた失礼します」

「うん、ゆっくり休んでね」

「ふわふわですわ・・・」

「お疲れ様・・・」


「勇者様、おはようございます」

「おはよう。みんなもゆっくりできた?」

「はい、おかげさまで。緊張の糸が切れたようでした」

「深刻そうだね。子供の頃お世話になったのにごめんね」

「覚えてらしたのですか?」

「うん、私が勇者にされた時心配してくれたでしょ?ありがとね。」

「昔から頑張っていたのは存じてましたから・・・ご無理はなさらないでくださいね?」

「ふふ、ありがとう。でも今の私は理由を見つけちゃったから頑張らないと!みんなを守るって理由をさ!」

「ならば、そのお手伝いを致します。勇者様のサポートはお任せください」

「そうだった・・・人に頼れって言われてたんだった・・・そうだね・・・良かったら頼める?」

「はい!」


「ミラちゃんの人間嫌いが酷くならなくて良かった」

「お嫌いなんですか!?」

「私を駒としか思ってない連中は嫌いかな・・・」

「それは私も同じです!」

「私達は勇者様の味方です」

「そうです」

「もちろん私達もね!」

「ありがとう。もう一人じゃないんだね・・・私」

「ミラ様!奇襲です!盗賊団です!」

「早速消しにきたか」

「勇者様」

「大丈夫、姫もここにいるみんな私が守る みんなは危ないから下がっててね」

「姫を探し出して殺せ!」

「やはり狙いは姫か 権力争いの末邪魔になって切り捨てられる盗賊に頼んだか」

「わかってるなら話が早い!勇者だろ?お前の生死は問わないって聞いてるから特別なもの容易したぞ。ほら」

「毒か・・・」

「巨大魔獣でも即死の毒だ!これならさすがの勇者でも」

「私状態異常無効スキル持ってるから効かないよ。でもこれをそっちに返したらどうなるかな。」

「しまっ!?口を房げ!かはっ」

「確かに効果があるようだ」

「ええい!残ったヤツでやっちまえ!」

「それこそ無謀だよ」

「なっ!?早すぎる!?かは!?」

「無理だ!こんなの勝てるわけ!かは!」

「姫を殺しにきたなら殺される覚悟もあるんだろうな?まさか一方的に蹂躙できるとでも思ったか?」

「ひぃ!降参だ!盗賊もやめる!だから許してくれ!」

「お前のような人間は信じられない」

「ぎゃー!」

「おっと、1人は残しておかないとな。自害用の毒はこっちでもらうね」

「おのれ!」

「どうせ貴族の差し金でしょ?だれ?言わないと少しずつ燃やして治癒を繰り返すよ」

「辞めてくれ!話す話す!」

「第2王子の差し金だ!やつらに第一王女が邪魔だから殺せって命令された!それだけだ!」

「そっか、なら夢幻監獄に幽閉してあげるねそれ!」

「いやだあ!!」


「黒幕は第2王子か。こっちにきてくれないかな。ばぱっと殺すのに」

「失敗したと分かったら直接来ると思いますわ」

「姫は怖くないの?」

「勇者様がいますから!怖いなど有り得ませんわ!」

「でも暗殺とか毒もあるから気もつけてね」

「分かりましたわ!」

「ミラ様!案の定第2王子がこちら向かってます」

「予想通りかさてと」


「やぁ、第一王女、何やら盗賊団に襲われたそうだね」

「あなたの差し金ってのはもうわかってますけどね!」

「第2王子である私を殺すのかい?勇者ミラ」

「殺すよ だって姫に危害加えたでしょ?私はね守るためなら殺しも厭わない。」

「これが勇者の力か・・・」

「くだらない・・・国王になりたいからって平和を愛する兄妹すら殺すだなんて」

「君にはわかるまい王族の辛さを!」

「知らないけど?だからなに?」

「邪魔をする資格がないということだよ。どきなさい勇者ミラ」

「第2王子風情が私に勝てるとでも」

「風情だと!?貴様!名誉公爵になったからと図に乗るなよ!」

「知らんがな、そんな価値のない爵位要らないんだってば」

「だったら尚更どけ!そいつを殺して我が王になるのだ!」

「あんたには無理だよ。どっちかというと姫様の方が国王に相応しい。」

「無理だと思うなら証明して見せるまでだ!」

「アイスキューブ」

「なんだここは!だせ!だせ!」

「その魔法を貫けないんだ?哀れだねこれは君を永遠に閉じ込めておく牢獄だよ」

「火で解けない!なんだこれは!?」

「絶対零度の氷だからあまり触れない方がいいよ。冷たすぎてやけどするよ。まぁ、どう足掻いても君はもう未来永劫その檻からは出られないってことさ」

「第2王子ゲットだぜ!どこに捨てようかな」

「やめろ!やめてください!お願いします!」

「やなこった!そうだ!龍の巣に手紙つけて送ろう!しっかりと監視してくれるはずだよ」

「やめろ!!やめてくれえええ!」

「だーめ!龍の巣へ行ってらっしゃい!」

「おのれええええええ!」

「ふぅ一件落着」


「王子どうなったかな?」

「龍の巣で仕方なくおとなしくしてると思うよ。管理は龍に頼んであるし逃げられないと思うけど生きてるだけマシでしょ」

「愚かなお兄さんですわ・・・ありがとうございます勇者様」

「それより君の立場も結構危ういと思うけど」

「それは私がなんとかしますわ。だからあと1週間だけ滞在させて頂けませんか?」

「好きにしていいよ。なんならいつでも帰ってきていいからさ」

「ありがとうございます!」


第2王子の問題が片付き、姫は領地に残り何かを始めていた

私に頼りすぎないよう秘密らしい

「あと1週間ですかここに住みますとか言い出すかと思いました」

「1週間後にあるかもよ。ここ気に入ったみたいだし」

「それなら別にいいのでは?私は構いませんよ。」

「というよりさ、私のこと女の子ってことみんな忘れてないよね?頼りがいのある男の子みたいなノリに聞こえるんだよね」

「男前な性格ですからね。仕方ないですよ。」

「正直男から見た勇者様格好いいぜ」

「女の子らしくなった方がいいのかな」

「そこは大丈夫ですぜ。ミラ様にもちゃんと可愛いところいっぱいありますから!ギャップがあるからファンも多いんですよ。」

「いや私アイドルじゃないし」

「小柄で顔立ちも可愛いし案外行けるんじゃねぇか?」

「やめてよ!ただでさえ人見知りなんだから!舞台の上とか絶対無理!」

「でも戦場とか私達がピンチの時は大丈夫ですよね?」

「もしかして媚びるのがだめってことか?」

「そそ!それそれ!作り笑いとか無理!」

「本当に不器用だなぁ・・・魔法とかは色々できるのに」

「タスクこなせば自然と極められるものだし、笑顔は引き攣る自信しかない」

「勇者様、今は手紙が届いたのですが私の友達のご家族もこちらに移住しても宜しいですか?」

「なんで?」

「貴族の権力争いが過激になって嫌になってしまったようで」

「それならいいよ。でも私相手できないから姫様お願いね」

「わかりました」

「知らない人とか無理!」

「とはいえ、権力争いもいよいよですな」

「勝手に滅んでそうだね」

「せっかく平和になったのに残念な限りです」


「よろしくお願いします・・・ミリィと申します一応伯爵の娘です」

「ゆっくり休んでね。ここは安全だから」

「はい!ありがとうございます!」

「ちなみにうちのみんなは魔族だけど仲良くしてね」

「姫様からお聞きしております。私も話してみたいと考えてました」

「ちなみにあっちはどんな感じだった?」

「貴族同士暗殺を差し向けて気が休まる日もありませんでした。国王の言うことも聞かず勝手にやっているようです」

「味方同士で殺しあって得た地位や名誉なんて価値なんてないのにね」

「その通りです!私が何度も制止しても耳もかたむけてもらえず半ば家での状態でこごできました」

「あれを使って私が行ってこようかな。」

「あれとは?」

「私は魔法で文体を生み出せるんだけどそれにここをまかせて私は王都の権力争いを終わらせてこようかなって」

「危なくないですか?」

「すぐ帰る」


「おいハゲ!」

「勇者!?」

「貴族達が好き勝手やってるそうじゃないか!」

「それなんだが今の私にはもう止める力がないのだ」

「なぜだ?」

「平和な世に王などいらんということだ。私も貴族に狙われてる一人なのだ」

「平和だからこそ治める者が必要だろ。お前が死んで貴族が残ってもろくな事にならん。それだけは確かだ」

「それはそうだが」

「かと言って貴族を殺しても意味が無い気がする。終戦したからと思っていたが裏で誰か操っているようなそんな嫌な感じ」

「勇者様?」

「宰相、あんた私の名前言える?」

「それはもちろん」

「応えてみて、フルネームでね」

「勇者ミラ・・・」

「言えないんだね・・・アイスキューブ」

「勇者よ、これは一体」

「この人、中身はもう宰相じゃないよ。地獄の悪魔だ」

「な!?だとすると今までの情報漏れや裏切りも!」

「他にもまだ忍んでるんだろうね。地獄が関わってくるなら天界もだろうし戦争終わったばかりというのに全く」

「ふふふ、閉じ込めたからなんだ?私はお前の言う通り悪魔だぞ。こんなオリ容易く・・・!?」

「精魔法も組み込んであるから肉体どころか魂すら抜け出せないよ。対策するに決まってるでしょ」

「なら!」

「・・・」

「なぜだ!魔法が発動しない!」

「それも無理ね。操ってこっちに向けようとしてもそもそも魔法無効になってるから。」

「つくづく忌々しいやつめ!」

「とりま肉体は返してもらうね」

「なっ!?」

「宰相は一応生きてるね。良かった。」

「お前は一体・・・」

「元勇者だけど?まぁ、成り行きでなっただけだけど」

「成り行きだと!?」

「しかしこれからどうするか。悪魔本体は隔離したけど」

「私を殺しても無駄だぞ!悪魔は不滅何度でも蘇る」

「ん?別に殺せないから困ってる訳じゃないから。どうやって情報を搾り取ろうかと思って。」

「それではまるでいつでも殺せると言ってるようなもの」

「悪魔は殺すんじゃなくて消すんだよ。そうすれば復活しないから。私はそれができる。悪魔なのに知らなかったの?」

「仮にそうだとしても人間にそのようなこと」

「あ、そうだ!アカシックレコードにアクセスして無理やり情報を奪い取ろう!えい!」

「ぐあああ!!」

「よし、これで情報ゲット!ほな、君は悪さしたから消えてもらうね」

「まっ!?」

「勇者よ・・・これで悪魔は消えたのか?」

「理そのものが消滅したので復活も不可能だね。情報も手に入ったし宰相も助かったしラッキーだったね。」

「それでその情報には・・・」

「やっぱり何人かの貴族にも悪魔が潜んでるみたいだね。目的は国を滅ぼすことだったみたい」

「なんと恐ろしい・・・」

「だから遠隔で悪魔の理だけ消しておいた。」

「え?」

「だから、目星はついたからさっきみたいに悪魔消したから。遠隔で」

「この短時間で・・・これでもう安全ということか?」

「あとは中身の人間次第かな。」

「そうだな・・・ありがとう・・・勇者ミラ・リリル」

「それはいいけどあんたの手にかかってるんだからね!王なんだからしっかり導きなさい!」

「は、はい!」

「じゃあね!」

「怖かった・・・」


「というわけで王国はもう大丈夫だから。」

「さすが勇者様ですわ!」

「まさか悪魔が関わっていたとは」

「その前に数時間で問題全て片付けてきたことにツッコミ入れようよ!?」

「勇者様だし」

「ですね」

「とはいえ、悪魔ですか。よく倒せたね?」

「まぁ、種さえ分かれば簡単だよ。」

「相変わらずだな・・・ちなみにあの貴族は」

「あっちは悪魔関係ないよ。シンプルに性格悪いだけ」

「同族としては複雑・・・」

「それに魔族達には魔王がいるから悪魔も手ししてこないでしょ。」

「そうなんだ・・・」

「そういえば聞いて聞いて!私!人間相手でもなんか話せた!言いたいことも言えたんだ!みんなのおかげだね!」

「それはすごいね!でも悪魔より重要なことなんだね。」

「重要だよ!長年できなかったことがようやくできるようになったのは進歩だよ!」

「ミラちゃんらしいね。ふふ」


「王国が平和になって帰らないといけなくなりましたわ・・・」

「そんな落ち込まないで。また来てもいいから」

「本当ですの!?約束ですのよ!」

「約束約束」

「勇者様、使用人一同からも感謝致します。大変お世話になりました。ここでの生活とてもよいものでした。」

「それなら良かった。みんなも元気でね。」

「たまにはこっちにも遊びにきてくださいねー!」

「いくいくー!知らんけど」

「雑ですわー!」


「疲れた・・・」

「お疲れ様。今回も頑張ったね」

「へへ、私忘れてたことが多かったなって思ったんだ」

「どんなこと?」

「人間なんてって思ってたけど私のこと見ていてくれた人結構いて私はそれに向き合おうとしてなかった。心に蓋とじてたのは私だったんだなって」

「ミラちゃん・・・」

「だからミレーナには感謝してるんだ!心の蓋こじ開けてくれてありがとう!」

「うん!」


「今日も平和だ」

あれから街は更に発展し平和な日々が続いていた

街の人たちは笑顔で溢れており少しだけ魔族の移住者も増えた

「流通もできたし貨幣も導入した。となると輸出するために人間の商人も雇おうかな。魔族側のものを人間側で売れたらいいよね。」

「需要はあるかもね。姫ちゃんに聞いてみるよ」

「姫ちゃんって・・・そんなに仲良くなってたの?」

「何日か滞在してたからそりゃあ・・・」

「何日かでできる!?すごい!」

「ミラちゃんの驚くポイントそこ・・・」

「仲間も作らず旅してたわけじゃないからね。すぐに仲良くなれる人が羨ましいよ。」

「とにかく、商人さんは探しておくから。人間のものも魔族側に売ればいいだろうね」

「ミレーナは頼りになるねぇ。サポートしてくれるから助かるよ」

「それよりミラちゃん、商人さんがきたら服を買いましょう。ミラちゃんいつも同じ服だから違うのもいいと思うの」

「私はこれが慣れてるから・・・!」

「可愛い女の子なのにお洒落しないなんてだめだよ。私が可愛くコーディネートしてあげるね」


というわけで商人さんがきて早速言わんばかりに着せ替え人形にされていた

まずは白ワンピ小柄で綺麗な金髪が映えてとても似合っているらしい

そして次、ゴスロリだ。これは恥ずかしいが悪い気はしない魔族に来ていた人がいたからちょっと気になってたのだ

無論その魔族は女の子のバンパイアである

そして次はホットパンツにラフなTシャツである

シンプルながら露出が多く動きやすい代わりに恥ずかしい

「どれも最高!やっぱり元がいいのよね!」

「店主!せっかくだしお揃いの服とかない!?この子にも着せて」

「私は別に」

「おまかせください!こちらをどうぞ!」

「なんで私まで!?」


「これにしよう!お揃いなら私だけ恥ずかしくなくて良い」

「これはこれで嬉しいからいっか」

「まいどあり」

お揃いの服と各々気に入った服を買い店を出る

実はぼっちだった時に密かに憧れていたのだ

友達とお揃いの服を着て街で遊ぶこと

夢がかなってとても満足だ



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ