即興短編集
初投稿。即興で書いた短編集です。まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします。
※人によっては不快になる表現を含みますので、ご注意ください。
『世紀』
ゆるく、鐘の響き。隣のレンズを見つめて、何年経っただろう。
冷たい、それなのに、息はできる。冷凍保存、取り入れられた、初め。
飾られるように、置かれた人形のような我ら。気付かれない、きっと私は、人形なのだ。
どんどんと、感覚が麻痺する。カレンダーも、覗けるものも、ないのだ。痩せ干せたカレンダーが、今では恋しく。冬という、錯覚も。
唸る鐘の響きは、冷酷で。きっと合図なのだと、悟るのだ。きっと、わたしは模造品。
『獣』
すべての呪縛から、解放される喜び。
残酷な程溢れ出す唾液に、腐乱した死体と隣合わせの現状。
醜い香りが鼻腔を刺し、押し殺す。
こういう時こそ、怜悧な獣達。
生命を感じる瞳は、時より残酷である。
糸を惹かせ、また口を開く。
噛みちぎられた上腕からは、止め此無く血が溢れる。攻撃された顔も、赤で塗りつぶされた。
鋭く尖った鉤爪を、次の箇所に刺した時。
頭から、愉快な少女たちがパヴァーヌを踊る。やけに優しい演奏が、脳内で木霊していく。
これが走馬灯と気付く頃には、獣達は足音を響かせ、木の群れへと渦巻いた。
木で見果てぬ空を、眺めながら。
『呪縛』
線香の、香り。実を結ぶ全てが、自分をどんどんと、沼へと引きずり込む。浅いものでは無い、深く、不覚へと。
自分自身と言う塊が、妙に気持ち悪く、自身が気の毒だと、いずれ感じ果てる。
己の動脈も、身体も、人間である。女という自覚を、思考が渦巻く故に、思慮深くなってしまうから。
枯れ果てたはずの花弁のように、実を開くことは無い。この沈黙を、いつか晴れることを信じ、そして呪縛から開放されることを祈るのだ。自分自身から。
『フラッシュバック』
喉の奥から、溢れる。ぽたぽた、つっかえるなにか。怪物と化した自分を止めるのは、誰もいない。
掌が、眩しい。ずっとお腹になにかを、異物を入れられているような。無造作、というものが、皮肉で。
レンズに写る、自分。含むのは、口に無理やり含んだビー玉。涼しさを奏でる、もの。冷たいはずなのに、冷酷であった。
砂嵐のようだ。ずっと渦巻き、そして火傷してしまいそうな、熱さ。機械的で、熱さを孕む。無関心こそが、救いなはず。
『涙』
口に含む、海の味。飲み込んだ先、喉の奥へと滑る液体、飾れはしない。
欠片は、水滴。偏見に満たされ、そしてどこか甘い時も、あるだろう。失言をした、這うのは、頬。
『箱』
滲む。謎というものが、刻まれる。パズルを組み合わせると、真実がわかるのである。
罪人だろう、きっと。お互い様、なんて、怪物には通じない、
太鼓の音。はしたないほど、異質。
『ネメシス』
罪人。信号の、点滅する感覚。影が、ゆっくりと、後退りする。
声を出そうにも、出せない。罪深い沈黙が、視界を拐う。あの並のように、ゆっくりと、背後を這う。
また、かわしてしまうのだ。壁を作ることは、きっと容易い。それなのに、その後の対応について、私は深く、貶められる。不覚だった。
鮮やかな、呼吸。液体を飲み干し、そして、木の木漏れ日。
神は、見ているのですか。この、怠惰な私に。きっと、罪を与えるのでしょう。
『芸術家』
鈍くなった視力。
色覚が損なわれ、模範である絵もいずれ模写できなくなっていく。
キャンバスに写る絵は、鋭く。
どす黒い赤は、鉄混じる匂いすら嗅げるだろう。秒針の音にいちいち解釈を挟む暇がないように、我々もこの時の残酷さに文句は言えない。
視力を、どんどんと蝕まれていく恐怖。一般的に、孤独とされている芸術家。筆の音が、子守唄のようなものである。
焦躁感、花瓶すらうまく認識できない。全てがぼやけていく、ずっと己の目に刃物を突き立てられているような異物感に駆られる。
読んでいただき、ありがとうございました!思いつきで書くことが多いため、分かりにくい箇所も多いかもしれませんが、少しでもなにか感じてもらえていたら嬉しいです…!これからも色々投稿するので、見ていただけたら嬉しいです。