カロリーナ
私達が婚約して暫くしてからの事です。
図書館で勉強してる私にシモンズ伯爵令嬢が声を掛けてきました。
「バーナンド男爵令嬢 これから少しお時間頂けますか?」
シモンズ伯爵令嬢のカロリーナ様と私は学園の中庭のベンチに腰掛けて話しました。
カロリーナ様はヴィンスと知り合うきっかけとなった伯爵令息のロイ様の婚約者です。
真っすぐな黒髪に濃いエメラルドの瞳の美しい知性的な令嬢です。
本当は優秀クラスに入れるのに、婚約者のロイ様と同じクラスで勉強されてます。
正義感も強くて皆様からとても慕われてる方です。
「お休み時間に申し訳ありません 私、前から貴方とお話がしたかったの
私、ロイと婚約破棄しましたの」
「えっ」
「あの方、あちらこちらの女性に節操がないでしょう
最初は私も目をつぶってましたの
でも、あなたたちを見て自分だけ我慢するのがバカバカしくなってしまいましたの
それに、貴方は勝手な中傷を受けてもご自分の心を大切に守っていらしてご立派ですもの
それに、嫌がれせにも凛として、相手になさらなかったでしょ
私も周りを気にせずに、自分の進む道を選ぶ勇気を貴方に頂けたの
そのお礼をどうしても伝えたくて
本当にありがとう」
「私はシモンズ伯爵令嬢が思ってらっしゃる様な事は何もしておりません」
「ふふ ご自覚がないのね 」
「宜しかったら、私の事はカロリーナとお呼びいただけるかしら?」
「あの、私の事もアリスとお呼び頂けますか?」
「もちろんよ! お友達になってくれるかしら?」
「えっ! 宜しいのですか? うっ嬉しいです ありがとうございます」
初めて女性のお友達が出来ました。
涙が出る程嬉しいです。
カロリーナの夢は絵本を通して、この国の識字率を上げることです。
その事業の後押しをしたのが王太子妃殿下です。
そこから、王太子殿下の側近の一人と知り合うのです。
その方はいつも氷のように冷たい表情で感情が読み取れ無い方でしたが、カロリーナに熱烈な求婚を何度も何度もして、やっと承諾を得られたのです。
長い長い時間をかけてカロリーナは識字率をあげて、目標を現実のものにしました。
もちろん、私とは長く長く友情を育み親友となりました。
私は小さい頃からの夢だった、お友達と、愛する夫、そして、たくさんの思いやりの溢れた方達に囲まれて、本当に幸せです。
「いつもそばにいてくれてありがとう」
と、ヴィンスはいつも言ってくれますが、私こそ『一緒にいてくれてありがとう』
と、思ってます
end