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ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高校生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~  作者: エース皇命
白熱の最強冒険者決定戦編

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第91話 天然さが好感度アップに繋がるクールな実姉

 一ノ瀬(いちのせ)からの執拗な攻撃が終わり、言い方は悪いが、冷静にAランク冒険者潰しができるようになった。


 徐々に溜まっていくダメージ。


 俺が一息つけるようになったタイミングで、多くのAランク冒険者が倒れていった。


 観客は大熱狂。

 なかなか目立った戦闘不能が見られなかっただけに、こういった立て続けに起こる冒険者たちの脱落は盛り上がるんだろう。


 その様子を遠目で眺めていた俺みたいなSランク冒険者からすると、結構ありがたい話だ。


 余計な労力を使うことなく、確実に次のステップに駒を進めることができる。


(さい)君、大丈夫か?」


「社長……」


 フィールドの端の方で存在感を消していると、涙目になった西園寺(さいおんじ)が駆け付けてきた。


 そんなに心配しなくてもいいと思うが……。


一ノ瀬(ヤツ)は必ずオレが潰す。才君は何も心配しなくていい」


 西園寺が狙って潰そうとせずとも、一ノ瀬は西園寺に攻撃を仕掛けてくるだろう。


 だがとりあえず、心配してくれたことに対してのお礼だけは言っておいた。




 ***




 結果として、俺たちは無難に決勝トーナメント進出を決めた。


 案外あっさりとした決まり方だったものの、Sランク以上の冒険者で脱落者はいなかったので実力通りというところだろう。


 最も警戒していた神宮司(しんぐうじ)の出る幕はなかった。


才斗(さいと)はあんまり動いてないみたいだね」


「途中上司に襲われた」


「一ノ瀬君も才斗のことが気に入っているってことかな。最近僕には全然ちょっかいを出してくれなくなったから、少し寂しいものだよ」


「それは羨ましいな」


 剣騎(けんき)は額に汗を浮き上がらせていた。


 それなりに戦ったってことだろう。

 実際、多くのAランク冒険者を狩ってくれたことに関しては感謝している。


「問題はトーナメントで誰と当たるかだね。さすがの僕も、1回戦で神宮司君と当たったら即終了は間違いない」


「シードとかはないのか?」


「もう決勝までシードでいいのにね、神宮司君は」


「その方がこっちとしては確実に上に行けるが……面白くはないな」


「いつから戦いにエンタメを考えるようになったんだい? 君も変わったね」


「観客もいるし……一応」


 自分でもよくわからなかった。


 見られている、期待されているという意識があるのか、この冒戦にエンタメを求めている自分がいる。

 実際のところ、この冒戦は見世物だ。


 こちらも演者として、最大限盛り上げることが――。


「そうか……」


「ん、どうした?」


「なんでもない」


 大事なことを思い出す。


 ――俺は勝たなければならない。


 たとえ実力の問題で勝てなかったとしても、それは次の勝利に繋がるような勝ち方でなくてはならない。


 俺の両親を殺した闇組織への復讐。


 ダンジョンの完全攻略。


 この2つを達成するには、さらなる強さが必要だ。観客を盛り上げるだの、エンタメだの、そんなことを考えている暇なんてない。


「初戦で神宮司皇命ロード・オブ・ダンジョンと当たったとしても、俺は勝つ。何がなんでも」


 覚悟を決めた表情で、剣騎に宣言する。


「え、それは普通に無理でしょ。相手は日本最強の冒険者だよ」


 マジレスされた。

 それもそうだ。




 ***




才斗(さいと)、お疲れ様」


 絶対騒がしい楓香(ふうか)のところに行く前に、天音(あまね)姉さんがいる観客席に上がった俺。


 姉さんは楓香たちとは別のところで、1人で今回の予選の様子を見ていた。


 姉さんは普通に参加してしまえば決勝トーナメントには進めそうなだけの実力者だが、西園寺の許可が下りていないし、本人にもその気がまったくないので今回の冒戦には出場していない。


「特に活躍したわけでもない」


「一ノ瀬さんと戦っていた……あの速度に反応するのは難しい」


「それは超能(スキル)のおかげだ」


「才斗の超能(スキル)は応用が利く。使い方次第で格上にも勝てる」


 格上にも勝てる、か。


 楓香は格上キラーだし、俺も同じように格上である神宮司や西園寺、剣騎たちを倒せるんだろうか。


 姉さんはいつもの無表情。

 だが、その様子は少しふわふわしていて、違和感がある。


「姉さん?」


「少し……のど渇いた」


「飲み物は持ってこなかったのか?」


「あ……」


 手持ちのバッグの中から、水の入ったペットボトルを取り出す姉さん。


「忘れてた」


 もしかしたら俺の姉は、超絶クール天然系美女なのかもしれない。

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